コンサルタント転職のこぼれ話
キャリア・転職における「リスク」とは何か

キャリアコンサルタント 永田 憲章

キャリア・転職における「リスク」とは何か

「リスクを取って転職するので、年収アップを希望します」

未経験職種やベンチャー・スタートアップへの転職を希望する方と、転職時の年収の話をしているときに、お聞きすることがある言葉です。
 
ここで言う”リスク”とは、未経験職種のために入社後パフォーマンスを発揮できない可能性、あるいは、ベンチャー・スタートアップのビジネスが不安定で、入社後のキャリアが想定と異なってしまう可能性を意味することが多いと感じますが、果たしてそれは本当にリスクなのでしょうか。「リスクを取って転職すること」と「年収アップ」の間には合理性があるのでしょうか。
 
先日、ラクスル株式会社の取締役COO福島氏、執行役員狭間氏のお二人に、インタビューをさせていただきました。
 
取締役COO福島氏はボストン・コンサルティング・グループのプリンシパルから、執行役員狭間氏はベイン・アンド・カンパニーのマネージャーから、同社へ転職をされており、インタビューの中で次のやりとりがありました。
 
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Q:コンサル時代から比べると、年収もかなり下がったのではないですか?
 
A:確かに年収は下がりましたが、リスクをとった感覚はありません。目の前の年収が下がることより、スタートアップに飛び込む最後のチャンスを逃すことに危機感がありました。キャリアの選択肢が狭まるリスクをヘッジするために挑戦したという感覚です。失敗してコンサルに戻っても、得るものはある。どちらに転んでもリスクはないと割り切ってました
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このやりとりにおけるリスクと、冒頭に記載したリスクとは意味合いが大きく異なっています。ここでは、キャリアの選択肢が狭まることをリスクと捉え、転職先での失敗はリスクではないと断言されています
 
キャリア・転職におけるリスクを自身の中でどのように位置づけるのかによって、その方のキャリアが大きく変わってくるだろうと考えさせられるインタビューでした。コンサルタントの皆さんがキャリア・転職を考える上で有益な内容になっていますので、是非ご覧ください。
https://kc-consul.com/interview/consultant-post/vol50/
 
 
 
先日、将棋の歴代最多勝記録を27年ぶりに更新した羽生善治九段は、著書「大局観」の中で、リスクについて次のように書かれています。
 
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将棋の世界は、リスクをとらなければ棋士の成長は止まってしまう。
 
だから私は、新しい手を見つけたら、メジャータイトルを含む実際の対局で試すようにしている。練習で試すと、すぐに対策が立てられてしまう。
 
新しい作戦をいきなり実戦で試すのはリスクが高く、負けて一時的に勝率が落ちることもあるのだが、本番でリスクをおかさない限り、プロ棋士としての成長はない。
 
むしろ、リスクを取らないことが最大のリスクだと私は思っているなぜなら、今日勝つ確率が最も高い戦法は、三年もたてば完全に時代遅れになっているからだ
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リスクをこのように捉えている羽生氏だからこそ、誰よりも勝ちを積み重ねることができたのだと思いますし、この考え方はビジネスの世界でも大いに通じるものがあります
 
皆さんのキャリア・転職における「リスク」は何ですか?
本ブログをきっかけに、ご自身のリスクの捉え方を確認していただければ幸いです。

(2019年6月20日)
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