コンサルタント転職のこぼれ話
起業に向けて一歩踏み出すためには

キャリアコンサルタント 入江 祥之

起業に向けて一歩踏み出すためには

は専門領域がポストコンサルと経営幹部層ということもあり、日々の面談においては、一定の割合で起業希望の方とお会いします。
 
そこで今回は起業について最近考えたことをお伝えさせていただきます。ただ、起業に正解も不正解もなく(もっと言えばキャリアも同様ですが)、現時点の私なりの見解ということで、予めご了承いただけますと幸いです。
 
弊社ではキャリアコンサルティング力の向上に向けて、プロ経営者・CXOの方に対して定期的にキャリアインタビューを取らせて頂いておりますが、先日某一部上場企業の経営者にインタビューをさせていただく機会がございまして、とても参考になるお話を聞かせていただきましたのでご紹介させていただきます。
 
その経営者のお話の中で、最も印象的だったのが次の言葉でした。
 
『日本に住んでいてリスクなんてあるのか。』
 
起業を検討されている方は、大抵、一定レベルの能力や実績をお持ちだと思います。現職で高い評価を得られている方であれば、「いつでも戻っておいで」と言ってもらえたり、誘ってもらえる仲間もいるのではないでしょうか。また、今は一昔前に比べれば、たとえ起業して上手くいかなかったとしても、起業自体を高く評価されるようになりました。

事実、起業した後に改めて企業に転職して活躍されている方の事例をたくさん知っています。更に今はベンチャー企業等でCOOや事業責任者クラスの募集が多数あり、そのようなポジションでは起業経験者を歓迎としている求人も珍しくありません。
 
また、上述の経営者は、「一度起業して自分で経営してみると、人とお金の有り難みが身に染みて分かる」とも仰っておられ、まさにその通りだと思いました。自分がその立場になってみて初めて分かることは沢山ありますし、「ポストが人を育てる」とよく言われますが、自分が経営者としてやってみるのが最も早く成長すると思います。
 
別の観点では、私の過去の経験を踏まえると、起業に二の足を踏むケースとしては、『事業アイディアがない』、『仲間がいない』という理由が多いので、その経営者に質問させていただいたところ、「事業は何でも良い。まずは始めることが大事。事業の形は大抵変わります。」、「仲間はいなくても良い。うまく行き始めれば勝手に集まってくるものなので。」という回答でした。

実際にその方は成功されていらっしゃることもあり、大変重みのある言葉だと感じました。
 
とは言っても、やはり起業は勇気がいると思います。なので、私なりの起業についての考えを纏めてみました。

 
●心理的な安全の為にプランBを用意しておく。
 上記にも記載しましたが、出戻りや別の会社にお世話になるという保険を用意しておく。

若手であればリスクを取ってもそんなにダメージは大きくない。

●年齢を重ねると転職先の候補が減ってしまうのが実情なので、プランBの確保がより重要になってくる。

●起業した事業が低迷したまま長期化してしまうと、転職市場ではもう会社員として働くのは難しいのではないかと見られてしまうリスクがある。

●企業によってはアセットのある会社で新規事業を立ち上げた人材よりも、ゼロから起業された人材の方がよっぽど頼もしく馬力のある方だと思われることもある。

●事実、学生時代に起業経験のある方は就職活動や転職活動で高い評価を得られることが多い。

●一方で、必ずしも若ければ若いほど良いというものでもなく、若いうちは成長環境に身を置き、実力、ネットワーク、信用(人・資金を集められる)を得た上で起業するという考え方もある。

 
今回は起業という漠としたテーマについて、つらつらとやや纏りもなく書いてしまいましたが、起業するかどうかについては、今の仕事、世の中の変化、人との出会いなど、様々な要素が絡み合ってくるはずなので、タイミングは人それぞれだと思います。ベストなタイミングなんて分かりません。

ただ、リスクのない起業も絶対に有り得ないですし、最後はエイヤーと思い切れるかどうかだと思います。もし起業すべきかどうかを悩まれるようでしたら、遠慮なくご相談いただければと思います。私は背中を押させていただくこともあれば、やや止めさせていただくこともあります。

面談の時点で自信や覚悟のようなものが見えてくることもあれば、その逆もありますので、そのあたりを踏まえて、僭越ながら、私なりに客観的な意見をお伝えさせていただければと思います。
 
(2021年7月19日)
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