日本発のプロフェッショナルサービスで、コンサルティングの歴史さえ変えていきたい。 日本発のプロフェッショナルサービスで、コンサルティングの歴史さえ変えていきたい。

Vol.27

日本発のプロフェッショナルサービスで、コンサルティングの歴史さえ変えていきたい。

株式会社フィールドマネージメント

代表取締役並木 裕太氏

マッキンゼーにおいて最年少で役員に昇格し、コンサルタントとして大きな実績を誇る並木氏が、2009年に自ら立ち上げたファームがフィールドマネージメントだ。並木氏が独立した背景には、日本のコンサルティング業界を変えていきたいという強い意志がある。なぜそうした思いに至ったのか、そしてこれから何を目指していくのか、並木氏に話をうかがった。
「企業を対象とせず、人を対象とする」コンサルティングを追求したい。
入江
まずは、並木さんがマッキンゼーから独立されて、このフィールドマネージメントを立ち上げた経緯を教えていただけますか。
並木
私はマッキンゼーで約9年間、コンサルタントとしてのキャリアを重ねましたが、その仕事のすべてに満足していたわけではありませんでした。コンサルタントとしての力量が足りなかったこともあるのでしょうが、クライアントに心の底から「ありがとう」と言っていただけたプロジェクトは決して多くなかったように思います。おそらくそれは、私だけに限らず、日本のコンサルティング業界全般に当てはまることではないでしょうか。クライアントとコンサルタントがともに満足できるようなコンサルティングのあり方とはどのようなものなのか、また自らが主体となって業界に変化をもたらすことはできないか。そうしたことを少しずつ考え始めるようになったのが、独立の道を選ぶきっかけになりました。
入江
なぜ、日本のコンサルタントはクライアントから感謝される機会が少ないのでしょう?
並木
まず、日本ではコンサルティングファームの社会的地位が欧米に比べて低いという点が挙げられます。欧米では大企業の役員がコンサルタントを仕事のパートナーとすることは当然のように行われていて、コンサルタントという後ろ盾を持つことで社内での意思決定がスムーズに進められるというメリットもあります。しかし日本の企業にはそこまでの土壌があるとは言えません。

また、コンサルティグの対象が「企業」であるという点にも問題意識をもっています。たとえば、あるクライアントの経営陣の一人と信頼関係を築いていたとしましょう。コンサルティングファームとしては、次期社長候補と見込んで付き合っている面もあるわけです。ところが、パワーバランスが変わり、次のトップは別の人になりそうだと判明する。「企業」を支えることを主眼とするコンサルティングファームの判断に従えば、これまで付き合ってきた方だけでなく、次期社長とされる人とも関係構築を行うことになります。ドライな欧米ではそれでも通用するかもしれませんが、日本企業の風土にはなじまないだけでなく、むしろ信用を失うことにもつながってしまいます。

さらに、コンサルタントが解決を求められている「課題」そのものを疑う視線も重要です。企業から提示された課題を鵜呑みにして、ひたすらその解決に力を注いだとしても、問題設定自体が間違っていたら意味のないものになってしまいかねません。クライアントの要求に一生懸命応えたにもかかわらず、何か足りない感覚が残り、心からの感謝を得られない大きな理由がそこにあると思います。

私自身はコンサルティングが好きで、本当に価値のある仕事だと思っていますので、やるからにはお客様から喜んでいただけるような仕事がしたい。ならば自分でコンサルティングファームを立ち上げようと決意しました。
永田
では、クライアントから真に感謝されるために、どんなコンサルティングをやるべきだと並木さんはお考えになられたのですか。
並木
私が志したのは、「企業を対象とせず、人を対象とする」コンサルティングをしようということです。大きなビジョンに向けて努力されている経営者の方々、自分が本当にお付き合いしたいと思う方々に寄り添って、誰よりも近い存在になる。先ほど申し上げたような、「企業」を対象とすることで起こる“ねじれ”のようなものも、対象を「人」にすれば解消されるはずです。その経営者の方と心中するぐらいの気持ちで、たとえ転職して今とは異なるフィールドに移ったとしてもサポートしつづけ、引退の仕方まで一緒に考える。そういう関係性でのコンサルティングを追求したほうが、より感謝される仕事ができるでしょうし、私自身もピュアに取り組めると思ったのです。そして「人」について長く一緒にいると、その方が本当に大切にしていること、人生を通して本当にやりたいことがおのずと見えてきますから、問題設定を誤るということもなくなってくる。こうしたコンサルティングが実現できれば、これまで私が抱えていた悩みを解消できるのではないかと考えたわけです。

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日本のコンサルティングを変える。その志に賛同してくださる経営者の方々も。
入江
並木さんが掲げる「企業を対象とせず、人を対象とする」コンサルティングというのは、どうすれば実現できるのでしょうか。
並木
日本のコンサルティング業界の手法を見直していくことで、進むべき新たな道を見出せるのではないかと思っています。従来のように、短期的・単発的なプロジェクト単位で契約を結ぶ形では、時間軸の問題として「人」を支えるコンサルティングは成立しません。長期間に渡ってサポートできる関係性を持てるような契約の形態を模索しなければならないでしょう。大手のコンサルティングファームでは、100年以上の歴史で積み重ねてきた手法が確立されており、それを根本から変えることは極めて難しい。そこで、私が設立したフィールドマネージメントでは、リスクとリターンをクライアントと共有していこうという発想のもと、あえて成功報酬型の契約形態を試したりもしています。そうした姿勢で臨むことが、私たちが導き出した第一の解です。
入江
なるほど、長期間に渡ってクライアントとパートナーシップを結べるモデルを追求しているわけですね。
並木
そしてもうひとつ、これは日本においてのコンサルティングが欧米に比べて深く浸透しない理由のひとつでもあるのですが、日本の社会では豊富な実務経験を積んだ“グレイヘア”の人材の助言のほうが尊重される文化があります。欧米では、優れた分析力をもった“ファクトベース”のコンサルタントも、グレイヘアと同等な評価を受けています。では、この日本市場で、これまでファクトベースでのコンサルティングを手がけてきた私たちが、グレイヘアの人材に匹敵する信頼と評価を得るためにはどうすればいいのか。そのためには、やはり実際に起業したり経営に携わったりする経験を若いうちから積むことで、ファクトベースの能力に加え、グレイヘアとしての実践的な視点や経験をもつ、いわば“ハイブリッド”なコンサルタントを育てることが有効だと考えています。そこでフィールドマネージメントでは、社内でそうした能力を手に入れられる仕組みを作り、年配の経営者が思わず耳を傾けるようなコンサルタントの育成に取り組んでいます。
永田
グレイヘアの人材に匹敵する能力を手に入れる仕組みとは、具体的にはどのようなものですか。
並木
フィールドマネジーメントでは、コンサルティングサービスを展開するかたわら、自社でベンチャーキャピタルやPEファンドを立ち上げ、当社のコンサルタントたちが経営を担ったり、あるいはキャピタリストやファンドマネージャーとして力をふるっています。こうした経験を積める場を提供することで、グレイヘアの能力を身につけられると考えています。
永田
並木さんが目指されているのは、従来とはまったく異なる形のコンサルティングファームなのですね。
並木
その通りです。私たちの想いとしては、日本のコンサルティング業界を変えていきたい。そして、そうした志に賛同し、応援してくださる経営者の方も徐々に増えています。『WIRED』VOL.10のインタビューで私たちの姿勢をご評価くださっているJALの植木社長もそうです。あるプロジェクトのコンペで、大手のコンサルティングファームではなく、フィールドマネージメントをパートナーとして選んでくださりました。それは、当社が“ファクトベース”と“グレイヘア”がハイブリッドされたコンサルティングファームであり、事業を創ることの大変さを肌で理解している人材を擁することを評価いただいたとともに、本気で日本のコンサルティングを変えようとしている、私たちのような若手に未来を託したいというメッセージも込めていただいたのではないかと思っています。フィールドマネージメントを設立して6年が経ちましたが、私たちが掲げるビジョンの実現に大きな手応えを感じており、自信が確信に変わってきました。

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経営経験を積む場も提供し、ハイブリッドなコンサルタントを輩出したい。
入江
では、今後ますますの発展が期待されるフィールドマネージメントでは、いまどんな人材を必要とされているのでしょう。
並木
かつての私のように、コンサルティングという仕事は好きだけれども、現状に“不完全燃焼”感を抱いていて、それを払拭したいという気概のある方に参加していただきたいですね。自分の能力に自信があって、たとえば経営者としての経験を積んでみたいという方も大いに歓迎します。才能ある若い人材が、年功序列でやりたいことができないというのは本当に不毛なこと。先に触れた、ベンチャーキャピタルやPEファンドの会社を社内で立ち上げたのも、自ら意思決定して事業を動かす経験をコンサルタントたちに提供するためです。そのような経験をした年月は、コンサルティングばかり手がけるよりも、100倍実りある経験になる。日本においては貴重な存在であるハイブリッドなコンサルタントが養成されることになり、それが結果として日本のコンサルティングを変えていくことにつながっていくのだと私は捉えています。
入江
若いうちから経営経験を積みたいという方にとっても、フィールドマネージメントは格好の場であるということですね。
並木
つい先日も、マッキンゼー時代の後輩が私のもとに訪ねてきたんです。彼も「経営経験を積みたい」とマッキンゼーを離れてネット系の企業に移ったのですが、コンサルタントとして優秀だっただけに、社長室に囲い込まれて社内コンサルのような役割ばかり担わされていた。コンサルタントから事業会社に転職された方のなかには、同じような境遇の人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。彼はITに精通していて非常に有能な人材だと考えていましたので、「会社を創るから経営をやらないか」と誘ったんです(笑)。フィールドマネージメントを立ち上げてからいろいろな領域のコンサルティングを一通り手がけてきたものの、システムコンサルの機能はまだ持てていなかったので、それを彼に任せようと。ちょうど、大手エンターテインメント企業のクライアントから、「大規模なCRMのシステムを開発するのでプロジェクトマネジメントをしてくれないか」というオファーをいただいており、システムコンサル専門の新会社を設けて、当面はその案件を手がけながら事業を拡大していくのも面白いと考えたのです。これから参画されるみなさんにも、本当にやりたいことをお持ちなら、それを実現する機会は私のほうでいくらでも用意したいと思っています。
永田
並木さんは、フィールドマネージメントの将来像をどのように描いていらっしゃいますか?
並木
私たちが掲げるコンサルティングのコンセプトは、影響力のある経営者の方々の間に徐々に浸透しつつあります。それをこれからさらに広めて、社会で明確に認知されるようになりたい。たとえば企業の経営が危機的な状況に陥った時に、必ず声がかかるようなコンサルティングファームでありたいですし、そのためにはある程度の規模も必要だと考えています。だからこそ、私たちと同じ言葉で語れるコンサルタントを増やしていきたいのです。私たちのスタイルで大きな成果が上がれば、大手のコンサルティングファームもきっと真似るようになるでしょう。欧米のコンサルティングファームにも影響を与えることになる。日本発のプロフェッショナルサービスが世界のコンサルティング業界にインパクトを与え、これまで欧米主導だったコンサルティングの歴史を変えるかもしれない。「コンサルティングの最先端を行くのはジャパンだ」と世界が認めるような時代を私たちがリードできれば、これ以上エキサイティングなことはありませんね。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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