Vol.63

日本の若い人達が希望を持てる未来のために、ブレインパッドが投じられる一石がある。自社だけではなく様々な企業と「つながる」ことで、より大きな価値を出していける。

株式会社ブレインパッド

代表取締役社長草野隆史氏

取締役 プロダクト事業・プロダクトビジネス本部管掌 ビジネス統括本部長関口朋宏氏

公開日:2021.11.15

インタビュアー 入江・永田・工藤

2004年の創業以来、データの分析・活用を通じてクライアント企業の意思決定や経営改善の支援に取り組んでいる株式会社ブレインパッド。多数のクライアント企業に対し、データ活用の上流の構想策定から、データ分析支援、データ活用のためのソリューション提供までのサービスを一連で提供している。同社代表取締役社長の草野隆史氏と、取締役の関口朋宏氏のお二方に詳細を伺った。

Message

数あるポストコンサルの選択肢の中で、最も想定範囲外だったのがブレインパッドだった。

工藤
初めに、草野さんから簡単に貴社の事業内容と創業経緯についてお聞かせください。
草野
当社は「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というミッションを掲げて2004年に創業したベンチャー企業です。150名を超えるデータサイエンティスト組織を抱え、主に大企業向けにデータ活用を支援しています。

現在はデータ活用・DXの上流の構想策定から、データ分析・システム開発、そこで溜まったデータを活用したマーケティング上のアクション、データ活用人材の育成などデータ分析の内製化に向けた総合的な支援までをトータルにご提供しており、データ活用支援企業の中でも非常にユニークな存在だと思います。

前職でも創業メンバーとして起業を経験していた私は、再度新しい会社としてブレインパッドを立ち上げるにあたり、起業アイデアの制約条件として「長く取り組める」「大きな意義がある」「これから伸びる」「競争が無い」領域はどこだろうかと考えました。

データ活用を通じて企業の生産性を高めることは、意義も大きく、競争も当面無さそうな一方で、データが増えていくトレンドは確実であり、データはあらゆる産業で本質的に発生するものなので業種業態の縛りなくいろいろな領域を対象にできると考え、共同創業者で現在代表取締役会長の佐藤清之輔と当社を立ち上げました。
工藤
関口さんのこれまでのキャリアについてもお話いただけますか?
関口
私は2001年に新卒でアクセンチュアに入社しました。学生時代は機械工学を勉強していましたが、外資系証券会社の投資銀行部門のインターン参加をきっかけにビジネスの面白さに目覚めて、ビジネスの世界で技術者を下支えするような仕事をしたいと考えるようになりました。

入社後の2年間は大型のシステム開発チームでの仕事を経験したのち、戦略コンサルティングのチームに異動後は組織再編も含めた全社改革や、経営ガバナンスの改革、人材活用という観点でのタレントマネジメント、新規事業の立ち上げをハンズオンで参画する等、様々な経験を積ませていただきました。
工藤
様々なキャリアの選択肢がある中、ブレインパッドに決められた理由は何でしたか?
関口
もともと日本という国が大好きなんです。アクセンチュアに限らず、外資系のコンサルティング会社は海外の先行事例や経験値をソリューションに落とし込み日本に持ってくるわけですが、私はそれでは日本企業は1位になれない、日本企業が本当に強くなるには世界に先駆けて自らイノベーティブなものを創っていく必要があると考えていたため、日本企業に転職することを決めていました。

とは言え、まだ年功序列も強い日本の大企業で当時39才の自分が大きなことを成し遂げるのはなかなか難しそうだなと。外資系企業の日本人事責任者や、競合のコンサルティング会社というキャリアの選択肢は想定範囲内すぎて惹かれず、一番想定の範囲外だったのがブレインパッドでした。

当時はその存在自体を知らず、ベンチャー企業に行くイメージも持っていなかったのですが、決め手となったのは創業者である草野さんと佐藤さんとの出会いです。特に、草野さんと食事に行った時はブレインパッドの話をほとんどしていません(笑)。

草野さんは、ITに限らずさまざまな角度から日本の課題についてずっと話されていて、ここまで真っ直ぐ「日本を何とかしなければ」と言う人に出会ったのは初めてで、大きな衝撃でした。

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コンサルティングというよりも、お客さまと一緒に新たなビジネスを仕掛けていく感覚。

工藤
関口さんから見て、アクセンチュアとブレインパッドの違いとは何でしょうか。
関口
私はブレインパッドに入社後、1つの組織を預けてもらい、一から立ち上げました。アクセンチュアは、事例もビジネスモデルも海外の天才達が考えたことを日本でどう展開するかという話ですが、私たちはデータ分析を軸にするユニークな会社なので模倣する相手がおらず、自社のビジネスでお客さまに貢献するには何をしたらいいのかゼロベースで考えていかなければいけない点が最大の違いかと思います。
工藤
草野さんとしては、関口さんが入られたことでどのような変化がありましたか?
草野
データ分析やデータ活用は様々な領域に使えるものですが、企業の中で一番必要とされる部署や業務を見極めて、それをどう適用することが最適解かをクライアントの経営陣と見出す手段をブレインパッドは持っていなかったので、その意味で、コンサルタントの方が入ってくれることでお客さまへの貢献価値が一段上がったことが最も大きい変化だと思っています。その中で、関口さんには本部の立ち上げをはじめ、強いリーダーシップを発揮いただいています。
工藤
貴社ならではのクライアントへの提供価値とはどのような点でしょうか。
関口
コンサルティング会社は目の前のクライアントのために100%の力を尽くすと思いますが、データ分析では特定の会社や業界を超えて繋がった方がより高い価値を出せることがあります。

アクセンチュアは高いケイパビリティを持っているため自社で幅広く様々なことができる一方で、ブレインパッドは良いアイデアや解決方法を見つけたら、クラウドベンダーの方々と連携したり、システム開発は多くのパートナー企業と一緒に実施したり、お客さん同士を繋げて新しいことを始めることもあります。

目の前のクライアントだけでなく、力のある人達が集まって大きな価値を出すチャレンジが当社ではできるということです。
工藤
それはアクセンチュアのようなコンサルティング会社では難しいチャレンジなのでしょうか?
関口
私がいたアクセンチュアではお客さま毎にチームが縦割りなので、コラボレーションすることは殆ど無かったですし、さらに業界を超えてしまうとお互いに何をやっているかも知らない状態もありました。

1社のパフォーマンスを最大化することはやるけれども、「業界構造を変える」「業界全体に何か新しい仕掛けを生み出す」ことは、コンサルティング会社はあまり考えない印象です。

草野さんに限らずベンチャー界の人達と話をすると、皆、業界構造を変えようとしているので、そのビジョンや仕掛けたいこと、見ていることの大きさがコンサルタントとは次元が違う。自分自身の視野の狭さを痛感しましたね。
入江
コンサル会社にはできなくて、貴社だからこそできることの事例を教えてください。
関口
某小売・消費財系のお客さまが新サービスを考えていた際に、データ面と機能面の両方が不足しており、一からその両方を作ろうとするとスケールするまでに時間がかかってしまうという課題がありました。ちょうど別のお客さまがその足りない機能をサービス化しようとしていたので、業務提携を結ぶ形でブレインパッドが間に入ってお引き合わせしました。

コンサル時代はお客さま同士を繋げようという発想にならなかったですし、異業種のお客さんを相手にする機会が極めて少なかったです。でもこれが実現できれば、お客さまの一方はサービスが立ち上がる、もう一方はサービスが売れる、スピードも上がるということでお互いハッピーですよね。

別の事例としては、伊藤忠商事様と進めている案件です。この案件では、伊藤忠商事グループの食品卸会社である日本アクセス様の業務改善のために、伊藤忠商事グループの小売企業のデータを繋げて活用しています。他にも、お客さまが持つデータを使って当社と共同でのサービス開発も行っています。コンサルティングを行っている感覚はあまり無く、お客さまと一緒に新しい何かを仕掛けている感覚ですね。
永田
クライアント企業からどのような声をいただいているか、お聞かせいただきたいです。
草野
「単にデータ分析の人材を出す会社かと思ったら、キチンとビジネス目線を持ってくれているのですね」と言っていただけます。お客さまからの要望通りにただやるだけではなくその期待値を超えなければ、お客さまの価値創造やビジネスに貢献できないことを現場のメンバー達が理解しています。

納品した成果物に基づいてお客さまがアクションを取れ、かつ成果が出せるものでないと、仮にその時のチャージ分は頂けても、次の仕事に繋がらないことを私たちは身に染みてわかっているためです。
関口
データを扱っているためか、ブレインパッドは「誠実・真面目」と言われます。データは嘘をつけないのでファクトに対してとても誠実ですし、お客さまにとって都合の悪い真実もお話しなければならない。

あとはデータ分析を17年も続けているので、「転ばぬ先の杖」とも言われます。リアリティがあり、絵に描いた餅にならない。難しいことは難しいと経験上言えるということです。

お客さまとしては、データ活用が必要だと言いつつも、やはり失敗もしたくないからこそ、苦労する局面も含めて数多くの経験値を持つ当社には安心感があるとよく言われます。

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業界や社会全体をより良くしていくために求められるのは、自ら問いを設定する力。

工藤
以前から自社プロダクトも持ちながらコンサルティングビジネスも大事にされています。そのあたりの草野さんのお考えについてお話いただけますか?
草野
日本企業でITとビジネスの両方を理解している人は非常に少ない。往々にして、先端技術のテクノロジーベンチャーが日本で立ち上がらない理由は、顧客側の日本企業の中にそれを使いこなす人材がいないからであり、技術のインテグレーションも含めて提供しないと大きくならない現実があります。大企業からするとテクノロジーだけ提供されても使いこなせないので、企業の課題とテクノロジーの間を埋める人的サービスが不可欠になります。

また、データにまつわるテクノロジーは「導入して終わり」ではなく、取得したデータをどう活用して改善サイクルを回すかが重要なので、その意味でも人の力が必要です。当社の自社開発プロダクト「Rtoaster(アールトースター)」はリリースから15年になりますが、人的サービスと相まって、その改善サイクルを回すことがお客さまのビジネスに必要であるからこそ、これだけ長く支持をいただけているのだと思います。

そのため、お客さまのデータ活用促進には「ツールの提供」と「人的サービスの提供」の両輪が必要で、いまのビジネスの形はその必然の結果だと考えています。
工藤
今後、どんなことをしていけば日本の状況が良くなっていくとお考えでしょうか。
関口
「日本を強くする」「生活を豊かにする」等、意義ある取り組みにいかにブレインパッドが関わるかが大事だと思います。日本ではITの恩恵を感じられていない人がまだまだ多くいる中で、IT・データ活用の価値や意義を感じてもらうには「こんなに良いことがある」と地道に見せ続けることがとても重要です。

とても地味な仕事とも言えますが、ドミノのように初めの1枚を倒すと一気に変わっていく世界観があると思っています。日本の大企業はその可能性を秘めていて、彼らが動くことでマーケットが大きく変わる期待があるからこそ、私たちは大企業の方々ともお仕事をさせていただいています。
草野
日本の若い人たちが希望や可能性を感じられる事例を1つでも多く生み出したいですね。世界的に理系人材は増えているのに日本では減少している等、現状を真面目に分析していくと暗くなってしまうので(笑)、夢を持つことは大事だなと。

陸上における「1マイル4分の壁」の例のように、人間の身体構造上絶対に無理だと言われていたのに、1人が記録を破ったことで続々と記録更新することがありますよね。今の日本はメンタルブロックに囚われてしまっていますが、メルカリやスマートニュースなどのベンチャーが海外でも結果を出していることは、日本の若い企業に「今の時代でも世界と張り合える力がある」という希望を与えています。

私たちの立場からも、日本の現状と認識に投じられる一石があるのではないかと。様々な人がそれぞれの立場でメンタルブロックを壊していけば、若い世代が行動を起こし、企業の中でも現場の人達が積極的に動くことが起こり得ると思っているので、変革の契機につながるような事例をつくっていきたいと考えています。
関口
コンサルタントは「プロであれ」「専門家であれ」と言われ続けていて、その自負によるバイアスもあると思います。その業界の常識範囲内でやれることを考えてしまう。「一消費者として考えて(このサービスは)ダメだよね」等、素人だからこそ言えることも多くあります。

プロ感覚と、素人感覚の両方が無いと新しいものは生み出されず、バイアスを突破できない。私は、お客さまが新しいサービス検討されている時に「私はこれ買わないですね。」とひとりの消費者としての声を普通にお伝えしています(笑)。そういうことを素直に言えるカルチャーをずっと持ち続けたいですね。
工藤
最後に、この記事をご覧いただいている方に向けてメッセージをお願いします。
関口
ブレインパッドは日本を強く豊かにしていくことを目指していて、そのための課題を解決していくという発想でお客さまに対峙しています。なので、1つのお客さまが強くなるよりも業界や社会全体が良くなることに貢献していきたい方には非常に魅力ある仕事だと言えます。

また、コンサルタントの仕事は投げられたお題をどう上手に解くかが求められますが、一方で自ら問いを設定する力はなかなか磨けていない。私たちには新しいサービスを展開し、業界全体の課題となる問いを自ら設定していく力が試されます。

将来的に自分で事業をやりたい人はその力をつけておく必要があるので、問いを立てて自ら解きに行く力を養う環境としてはとても良いと思います。ぜひ私たちと一緒にビジネスをしましょう。
草野
社外から見るとコンサルティング会社に近しいように見えるかもしれませんが、似て非なるものができあがってきていますね(笑)。当社に入社したコンサルタント出身の社員が口を揃えて言うのは、「コンサルティング会社とは全然違うことをやっている」ということです。

当社にご興味をお持ちいただけたら、今回のような話よりも詳しく直接お話しできると思いますので、ぜひ会いに来てください。


構成:神田 昭子
撮影:櫻井 健司

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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