なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。株式会社コーポレイトディレクション

Vol.52

なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。

株式会社コーポレイトディレクション

パートナー占部伸一郎氏

シニフィアン株式会社 共同代表小林賢治氏

公開日:2019.10.24

インタビュアー 入江・永田・山本

株式会社コーポレイトディレクション(以下、CDI)のパートナーであり、Fringe81株式会社社外取締役を兼任、更には経済ニュースメディア「NewsPicks」のプロピッカーでもある占部伸一郎氏。同じくCDIで経営コンサルティングの経験を積んだ後、株式会社ディー・エヌ・エーで取締役を務め、現在はシニフィアンの共同代表として活躍する小林賢治氏。このお二方に、同社でキャリアを積む魅力について話をうかがった。

Message

入社の決め手は「人」だった。仕事が思い描いた通りにならない時に、立ち戻れる縁はあるか。

入江
まず初めに、お二方にCDIを選択された経緯とこれまでのキャリアをお伺いしたいと思います。それでは、占部さんからお願いできますか?
占部
私は大学の学部時代に就活を進める中でコンサルティング会社という存在を知り、これだと思ったんです。それは組織の歯車ではなく自分の実力や名前で勝負できること、もう1つは合唱団で指揮者を務めていた経験から指揮者によって演奏や団体そのものが変わると実感していたので、組織を動かすのは楽しいなと。ビジネスの領域であれば、経営に携わるのがエキサイティングだと思いました。コンサル業界で数社内定をもらった中から、当社に入った最後の決め手は人です。残念ながら業界には「頭は良いだろうけど一緒に働きたくない」という人もいる中で、このファームにはそういう人が一人もいなかった。今振り返っても良い選び方だったと思っています。
入江
ご入社後はどのようなプロジェクト経験を積んでこられたのでしょうか。
占部
入社後は、様々な業界テーマの経験を積みながら得意分野を見つけていく、というのが一般的なキャリアパスになります。自分の場合はインターネット関連の新興企業が3~4割程度で、その次に消費財などBtoC関係、不動産や投資ファンド/銀行向けの案件等に携わってきました。入社後4年目でマネージャーに昇進し、33才からはパートナーとしてやっていますので、比較的早い段階から仕事を任せられてきたと言えます。若い新しい会社がきちんと成長して新たな産業を作っていくことが日本経済としても大事だと考えていて、これから伸びる企業の成長をしっかり支援することにやりがいを感じています。
入江
ありがとうございます。それでは次に小林さんのご入社の経緯もお聞かせください。
小林
私は元々研究者になろうと思っていましたが、実際大学院に行ってみて、「研究室の先輩方には能力も情熱もかなわない」と実感し、自分は違うことをやろうと前向きに考えて、外に目を向けることにしました。どうせやるなら大きい仕事がいいなとぼんやりと思いながら、特に業種にはこだわらず就職活動をしていて、複数の大企業から内定をいただいたもののどこもピンと来なかった。そんな時に友人からコンサルティングファームを勧められたのですが、ほとんどのファームが選考を終えているタイミングの中、なんとかCDIにはギリギリ間に合ったんです。最終選考は、パートナー含めた採用チームの前でプレゼンテーションを行うというものだったのですが、他の応募者は皆プレゼン資料を用意してきている中、インパクトを残さないと勝てないと思い、自分は敢えて徒手空拳で何もスライドを使わずに話しきりました。選考の最後に「君はどういう観点で会社を決めるの?」とパートナーに聞かれて、正直に「ビビッときた会社に入ります。」と答えたのを覚えています。コンサルティングファームの面接の解答としてははなはだ非論理的ですが(笑)、仕事が思い描いた通りにいかずしんどくなった時に、最後に信じられるよすがとなるのは自分の直感だと信じていたので、そう答えました。
入江
それは説得力ありますね。入社してからの仕事についてはいかがでしたか?
小林
私は大手消費財企業やサブコン、法人向けITサービス企業、新興系不動産企業など様々なプロジェクトを担当しました。泥臭いことも多いのですが、どのようなプロジェクトにも面白いアングルはあると思いながらやっていました。DeNAは、入社2年目の時に先方社内のメンバーと二人一組で新規事業を考案する、というプロジェクトに入ったのが最初で、その2年後に人事組織体制や採用等の見直しプロジェクトで再び声が掛かりました。そちらは半年ハンズオンで支援し、最後に案をまとめてマネジメントに提案したところ、案自体には全員賛成だったのですが、社内に実行するリソースが足りていない状況でした。ちょうど人事担当の執行役員を誰にするかというタイミングでもあり、「自分で考えたなら自分でやったら?」と言われて(笑)。私としても、提案した後どうなるのかというのは非常に気になるところでしたし、当時自分の提案内容にも自信があったので、正直にパートナーに相談し、DeNAに移らせていただきました。
入江
その後のキャリアについても教えていただけますか?
小林
DeNAには人事責任者として入ったのですが、人事関連のテーマに関しては当初想定していた以上に進捗し、およそ1年ぐらいで成果がでてきました。改革を進める上で社員の方々の力を当然借りなければいけませんが、その社員の実行力が非常に高かったのが大きかったと思います。その後は、モバイルゲーム事業が立ち上がってきた時期に「1→10」のフェーズに携わり、部門の売上が数百億・人員数が400名近い規模になるまで一気に駆け抜ける急成長を経験しました。そのタイミングで取締役を拝命しましたが、当時は31才で、上場企業の取締役としてはかなり若い方だったと思います。DeNAの最後のキャリアとしては、コーポレートの責任者として、コーポレート部門全体を統括していました。大きな役割の一つにIRがあり、グローバルの機関投資家との対話を行う役割を担っていましたが、彼らとの対話の中で、日本の資本市場の遅れを痛感させられました。また、インターネット業界にいたので新興企業の資本市場に触れることも少なくありませんでしたが、そちらは上場企業のそれよりも更に課題が大きいなとも感じていました。そうした思いから、未上場と上場の両者をうまくブリッジして、新興企業をより盛り上げる取り組みをしたいと考えるようになり、思いを共にする他のメンバー達と共にシニフィアン株式会社を設立しました。

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なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。株式会社コーポレイトディレクション なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。株式会社コーポレイトディレクション

自律した職人集団でありたい。売上額よりも、その中身や質を重視している。

入江
CDIのプロジェクトや仕事の進め方について教えてください。
小林
企業の一部門に携わるプロジェクトよりも全社プロジェクトが多かったように思います。
占部
中堅企業(売上数百億~数千億規模)の案件が多いですね。2~3ヶ月くらいと短期間の案件が多く、もちろんリピートで継続するケースはありますが、年間契約や常駐はほぼありません。大企業だとその一機能に関する案件も多く、提案しても社内政治で進まないとか、検討した結果、結局実行しないということもある中で、この規模だとそういうことは少ない。上場ベンチャーの仕事ができるのも当社ならではと思います。
小林
CDIのOBは起業家が多くて、感覚ではスタートアップに身を投じている人が半分近くいるのではないかと思います。パートナーも起業家精神旺盛な方々で、自分たちが乗る船は自分たちで漕ぐぞ、というスタンスで、組織に乗っかるという感じがまったく無かった。
占部
会社はあくまでプラットフォームであり、パートナーは自分で旗を立てて自立して稼ぐ。ただ会社のプラットフォームは活用してくれ、というスタンスなんですよね。また、自社の経営を担っているという側面もあるので、その意思決定もやる。当社自体がベンチャー的な運営をしているコンサルティングファームという感覚です。
入江
大手外資戦略コンサルティングファームと貴社を比較すると、いかがですか?
占部
大手ファームの場合、大企業向けの年間契約でかなりの人数が常駐するという形態のプロジェクトが多く複数年続くこともあると聞きます。同じクライアントに常駐して場合によっては同じテーマをやっているのでなかなか経験の蓄積に時間がかかると聞きます。若手にとって鍛えられる環境という意味で言うと、短期間で様々な業界/テーマを経験していった方が良いように感じます。
小林
プロジェクトでは本当にゼロベースで、その会社にあった提案を考えていたと思います。本来、プロジェクトの内容や提案も「型」にはめる方が、コンサルティングファームの経営としては効率が良いんです。ただ、それだとクライアントの最適解にならないことも多いですし、コンサルタントとしての面白さとも反比例しますよね。
占部
そのような動きを個人的には「コンサルティングファームの産業化」と呼んでいます。提言内容をソリューション(定型)化することで、個人としてはそこまで優秀でなくても一定水準のアウトプットを出せる形に進化してきている。それによってこれだけコンサルティング業界の規模が大きくなっているということですし、クライアントにも価値が出ているのであれば良いことではありますが、働いているコンサルタントから見て鍛えられるか、楽しいかは別だと感じます。我々は職人集団として一つひとつ手作りに拘っていきたいと思います。
小林
色々なファームの出身者と会う機会がありますが、出身者のクオリティのバラツキの大きさで言えば、大手ファームの方が大きいように思います。一方で、身内びいき的に聞こえるかもしれませんが(笑)、CDIは厳選採用でかなり人数を絞って採るため、粒ぞろいです。OBの方々と久々に会っても、皆それぞれの分野でひとかどのことをやっていますしね。
永田
大手ファームが変わっていく中で、なぜ貴社は変わらずにいられるのですか?
小林
適度に規模が小さいからではないでしょうか。プロフェッショナルファームは大規模になるほど、効率的に仕事を取らないといけなくなりますから。CDIは、経営指標上の規模拡大をさほど問うていないですよね。売上額よりも、その中身や質を重視していますね。
占部
そこは一貫しています。でも職人集団ってそうですよね。会社のカルチャーが合わないけど案件がとれる人間を採用するとか、規模を2倍にすること自体を目標にするとか、そういう方針になると当社は崩れると思いますので、それをやるつもりは無い。僕らは独立系でありグローバル本社から指示されるわけでもないので、自身がやりたいコンサルティングの仕事をやりたいな、と思っています。
入江
貴社の徒弟制度(「担当パートナー制」のこと。中期的に育成を担当するパートナー/プリンシパル自らが、基準を定め、プロセスを設計し、パートナー/プリンシパル別に採用を行う制度)も特徴的ですね。
占部
新卒の徒弟制度は今でも継続していて、中途採用でもできるだけそれに近い形でやりたいと思っています。
小林
徒弟制度がとても良いのは、多様性が実現しやすい点です。パートナー毎に採用方針を決めるため、それぞれのカラーが出る。かと言って、派閥的な悶着も一切なく、メンバー同士も非常に仲が良い。
占部
採用する側としては、自分なら採らないだろうな、という人が別の人の採用ルートから入ってきたりするのですが、それはそれで良いことだと思います。また、徒弟制度により採用する側が真剣になる面もあります。入社後に「占部が採用した人間」と言われることになるので。
入江
徒弟制度で経験を積んだ後、異動はできるのでしょうか?
占部
プロジェクト自体は、徒弟関係に囚われずにアサイン(配置)します。徒弟制度は、入社後の位置づけとしてはメンターに近い感じですね。様々なプロジェクトを経験した上で、自分はこういうプロジェクトをやっていきたい、というのが見えるとそこに旗を立て、自ら仕事を取っていく、ということが推奨されます。大手のコンサルティングファームと比較すると、クライアントの規模などでの制約があまりないので、一定のフィーが払える企業であれば若いうちからでも仕事を受けられます。

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なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。株式会社コーポレイトディレクション なぜ、CDIのOBに起業家が多いのか? 産業化したコンサルティングファームにはならない。職人気質のコンサルティング集団でありたい。 若いうちから鍛えられ、本当にやりたい仕事に集中できる環境がここにはある。株式会社コーポレイトディレクション

起業家として活躍するOBも多い。自らやりたい仕事を提案してやれる、圧倒的に自由な環境。

永田
貴社のカルチャーを一言で表すといかがでしょうか?
占部
非常にフラットで風通しが良く、新しいチャレンジを許容するという意味で、いい意味でベンチャー、サークルっぽい感じですかね。皆、コンサルティングをやりたくて集まっていて自由に活動している。「入社」ではなく「参画」いう言葉に拘っているのもこういう背景です。
小林
受け入れ力の高い組織と言えるのではないでしょうか。「これをやってはいけない」と言われた記憶がほとんど無く、個々の裁量に委ねられています。中国オフィスを立ち上げる時も、社内のナレッジをデータベース化したらいいのではという時も、各コンサルタントが自ら提案して実行に移しました。こういうところが起業家に向いてるということなのかもしれません。許可を求める前にそれやってこいという感じで、言い出した者がやればいいという雰囲気ですね。
入江
CDIご出身の方は起業家となる方も多く、活躍されている印象があります。やはり貴社で鍛えられる部分があるのでしょうか?
小林
仕事を取ってきた以上、自分で何とかしないといけないという意識は若い時からあるかもしれません。こなしていればいいという仕事は基本的に無く、基本は裸一貫ですから。雑草魂的な人が相対的に多くなるのだと思いますね。
占部
大手コンサルティングファームに較べるとブランド力があるわけではないので、クライアントも「あなたに頼みたい」と指名で依頼してこられます。そのため、中身で勝負しないといけない。セクターで分かれているわけでもないので、特定の業界に強いという点で価値を出すわけでもなく、毎回業界のことを一から学んで成果を出す必要がある。また、若いうちから2つのプロジェクトを掛け持ちするため経験も蓄積されます。

小林
確かに仕事はキツいですが、掛け持ちする方が、経験できる機会が倍になるので良いと思います。しかも、毎回ゼロからのスタートです。起業する時はわからないことだらけなので、そういうところでも経験が活きるのかもしれません。




入江
CDIの経験は起業でも活きるということですね(笑)。20代後半~30才くらいの人は、コンサル会社をどういう軸で選んだら良いでしょうか。
小林
私が入社してみて思ったのは、小規模ファームには小規模なりの良さがあるということです。クライアント企業が大企業か否かというのもポイントで、私は、会社の大小よりは全社的なプロジェクトに関われるかどうか、ということを重視したほうがいいと思います。小規模ながらも様々な領域に関われるのと、規模は大きいけど一部分のみ、というのはトレードオフの関係です。どちらが好きかにもよりますが、これは見極めが必要でしょうね。
占部
当社の場合は中途採用でもポテンシャルで採っているので、当社で経験を積んでマネージャーになってもらうようにしています。鍛えられる環境にあるかが一番重要だと思います。目先の報酬や忙しさよりは、その後の人生も含めてどれだけ稼げるか、何が得られるかという方が重要なのでその観点で選んで欲しいですね。また、新卒入社の割合が大きいので、平均年齢が30才くらいと若い会社であり、若手でも任せられる環境だと言えます。
山本
最後に、占部さんがCDIでキャリアを継続されている理由をお聞かせください。
占部
創業者の吉越は、CDIの本質は「創造的活動を目指した人材開発」と語っていました。長く働きながら様々な組織と関わってきていますが、ゼロベースのコンサルティングという活動に拘りながら優秀な人材を育成、輩出し続けているという意味では、日本において本当に稀有な組織だと思っていますし、この組織を維持発展させていくことはある種の使命だと思ってやっています。個人的にもCDIというプラットフォームを活用しながら、価値観が同じ仲間と切磋琢磨しながら、本当に一緒に仕事をしたいお客さんとやりたい仕事に集中できている、という環境は得難いものだと思っています。

構成:神田 昭子
撮影:櫻井 健司

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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