Vol.04

なぜ官僚を辞めたのか?そしてコンサルタントとして目指すものは何か?

株式会社コーポレイトディレクション

パートナー長尾 行造氏

「ワンストップで相談できるコンサルタント」を目指す
入江
役所を辞めることに周囲からの反対はありませんでしたか。というのも、役所の方でコンサルタントへの転職を希望しオファーが出ても結局、周囲の反対で断念するケースをたまに見かけます。
長尾
私の場合、反対はありませんでした。石油開発課にいた頃は年間に10日も休んでおらず、平日はほとんど毎日徹夜か朝5時帰りというひどい生活でしたから、妻は「もう少しまともな生活になるのね」という反応でした。周囲の反対で転職を断念する方についていうと、厳しい言い方になりますが、周りの人間を説得できない人は、おそらくコンサルタントには向いていないと思います。
入江
官庁からコンサルティングファームに移り、すぐに適応できましたか。
長尾
そこは非常に苦労しました。何に一番苦労したかというと、頭の使い方や目の付け所が根本的に違うところです。たとえば自動車産業を見るとき、各社の財務諸表を集めて平均値を出し「日本の自動車産業はこんな姿になっています」と説明するのが役人の考え方です。しかしコンサルタントは逆で、「トヨタは日産やホンダと比較してこんな特徴がある」というようにむしろ違いを見つけていく。レポートの書き方にしても、役人はできるだけ玉虫色の表現をして後で幅広く解釈できるような技術が求められますが、コンサルタントがそんなことをしたら「アホか!」と怒られます。伝えたいことをビビッドに、シャープに書く技術がコンサルタントには求められるのです。そうした違いは言われたからといってすぐに転換できるものではありません。やはり役人としての物事の見方や文章の書き方が身体に染みついていて、しかもそれが正しいと思ってやってきたわけですから、コンサルタントのやり方は頭で理解できてもなかなか腹落ちしない。「本当にこのやり方でいいのか。いや、コンサルタントの世界に来たのだからこっちのやり方に合わせなければいけないんじゃないのか……」。そんな葛藤が続きました。中途で入ってくる人を見ていると、同じ悩みを抱えますね。やはり前の会社、前の業界の仕事の仕方が染みついていると、それを脱ぎ捨てるまでにはそれなりに時間がかかります。私は役所に四年間いましたが、いま振り返ってみると自分が自然にコンサルタントの目線で物事を考え、動けるようになるまでには同じくらいの時間がかかったかもしれません。
入江
長尾さんは数年前にCDIのパートナーになられましたが、パートナーに昇進できた要因はどこにあるのでしょうか。
長尾
私がコンサルタントとして強く心がけてきて、いまもそうしているのは「人と情報のハブになる」ことです。コンサルティングのスタイルは人それぞれあると思いますが、私は「ワンストップで相談できる人間になりたい」と思っています。誰かが悩みを抱えたとき、「まず長尾に相談しよう」と言われる存在でありたい。そのためには自分に知識や経験がないことでも、何らかの形でアウトプットを出せなければいけません。それには社内の人間だけでなく、社外の人も含めて自分が「人と情報」を豊富に持っていることが重要になってきます。そうすればどんなテーマを相談されても「この話ならあの人に相談すればすぐわかる」、あるいは「この人とあの人のスキルを組み合わせたらこんな解決策ができる」という形でアウトプットを出していけるからです。「人と情報のハブになる」意味はそこにあり、しかも人と情報は集まりだすと雪だるま式に大きくなっていきます。常にワンストップで相談される人間であろうとして、人と情報のハブを大きくしていったことで売上が伸び、その結果としてパートナーになったのだと思います。
入江
なぜ、「ワンストップで相談できる」コンサルタントになろうと志したのですか。
長尾
いまのコンサルタントはどんどん専門特化が進んでいます。それは経営が非常に複雑化したことの反映です。一昔前は人もモノもお金も国境を越えるのが大変でしたし、情報化もこれほど進んでおらず、経営者は限られた世界のなかで、相当ゆっくりした時間軸でP/Lを良くすることを考えていればよかった。しかし現在は競争が激化して世界中で戦うようになり、コンプライアンスや情報化、M&Aといったテーマも考えなければいけません。そのため、経営をサポートするのに必要な知識の幅が広くなり、コンサルタントも専門特化していく一方で、経営者のよろず相談というか、体に横串を刺し、統合して相談できるような機能が失われてきました。なので私は、難しい目標ではありますが、ワンストップで何でも相談できる「ジェネラリストのスペシャリスト」になろうと考えました。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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