Vol.38
社会課題の解決。政策立案の支援。戦略コンサルティングで鍛えた力を活かし、国や産業をより良く変えていく。
モニター デロイト
パートナー羽生田慶介氏
シニアコンサルタント佐藤維亮氏
公開日:2017.04.5
インタビュアー
入江
世界的な総合ファームであるデロイトの一員として、日本市場におけるコンサルティングサービスを担うデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)。その中で新しいブランドとして2018年6月から戦略プラクティスを開始したモニター デロイト(MD)は、クライアントの持続的で確実な成長を支援することはもちろん、昨今は社会課題の解決や産業の革新・創造までを担い、社会全体の発展にも貢献しようとしている。その最前線で活躍する、外資系戦略ファーム出身の二人のコンサルタントに、DTCならではの魅力や醍醐味について話をうかがった。
コモディティ化した経営戦略ソリューションでは、もはや日本の産業界は救えない。
- 入江
- DTC に入社されるまでのお二方のご経歴を教えていただけますか。
- 羽生田
- 経歴だけ簡単にお話ししますと、私は大学卒業後に大手電機メーカーに入社し、経営企画部で中期経営計画や新規事業の立案に5年間携わり、いったん退職して経済産業省に入省しました。経産省ではアジア各国とのFTA交渉などの通商政策に3年ほど関わり、再び大手電機メーカーに復職してM&Aの交渉などを1年間担った後、米系の戦略コンサルティングファームに移籍しました。そちらでは主に通信ハイテク業界の新規事業や海外展開の戦略立案やM&Aのデューデリジェンスなどを5年ほど手がけ、最終的にはマネジャーのポジションに就きましたが、考えるところがあってDTCへ。こちらに入社して4年強になります。
- 佐藤
- 私は新卒で大手商社に入社し、最初の2年間は法務部で株主総会や取締役会の事務局業務に従事しました。そして金属資源本部に移り、ブラジルでのアルミの開発プロジェクトで現地出資先企業の経営管理を3年ほど担い、その後は石炭のトレーディング業務を担当。その頃、ちょうど30歳を迎えて、もともと私が描いていたビジョンが今のままでは叶えられないと強く感じ、会社を離れて一橋大学の国際公共政策大学院へ。卒業後は欧州系の戦略コンサルティングファームに入社し、そちらで2年間、自動車会社や総合商社の成長戦略立案などに関わり、2年ほど前にDTCに転職してきました。
- 入江
- お二方がDTCにご入社されたのは、どのような経緯からですか。
- 羽生田
- 大手電機メーカーや経済産業省でのキャリアを通して、私は日本の製造業に対して強い危機意識を抱くようになりました。中国や韓国が猛烈に追い上げてくるなか、日本の製造業が勝ち抜いていくためには、オペレーショナルな改善ではなく戦略そのものを強くする必要がある。それを果たせるのが戦略コンサルティングファームだと前職を選んだのですが、私が入社したのがちょうどリーマンショック直後で、以降さまざまな案件に関わるうちに、コモディティ化された経営戦略ソリューションで日本の産業界は救えないと。これまでコンサルティング業界が提供できなかったツールでアプローチする以外に日本の産業界が非連続に良くなることはないと判断し、DTCであればそれが可能だと考えてこちらに参画したのです。
- 佐藤
- 私はもともと社会に出た時から「国のためになる仕事がしたい」という想いがありました。日本という国が好きで、学生時代は日本史の学者になろうと考えていたこともあります。しかしバブル崩壊後、この国がだんだん凋落していく様を見るのがとても残念で、何とか日本を元気にする仕事ができないかと就職先に選んだのが総合商社でした。しかし、商社で金属ビジネスに携わって感じたのは、やはり一民間企業でできることには限界があるということ。私としては、資源の安定供給を図ることで日本の製造業を支えたいという志で事業に臨んでいましたが、もはや国を巻き込まなければ欧米の資源メジャーや中国・ロシアの国営企業と互角に戦うのは難しいと痛感。しかし、ビジネスの現場では国を上手に使う知恵が欠けていて、民間と国を繋ぐ政策を編み出せる人材が必要だという考えから、大学院に通って政策を学んだのです。そして、自分のアウトプットを最大化できる力を養うべく戦略ファームでコンサルティングを経験し、十分足腰を鍛えた上で次のステップを探していたところ、DTCで新組織が立ち上がったという話を聞き、まさに私のやりたかったことが実現できる場だと考えて転職を決めました。
ルール形成から関わって、日本の競争力を向上させる。DTCならそれが果たせる。
- 入江
- さきほど、羽生田さんは「日本の産業界の非連続な革新」について触れられていましたが、もう少し具体的にお話しいただけますか。
- 羽生田
- ちょうど私が入社したのは、DTCが「100年先に続くバリューを、日本から。」というスローガンを新たに掲げたタイミングでした。過去、DTCがコンサルティング業界に先駆けていち早く実践してきたのは、それぞれのインダストリーに密着し、戦略の立案のみならずオペレーションの実行までリアリティをもって担うことで、顧客企業に確かなバリューをもたらすことでした。しかし、他のファームも同様のアプローチを取り入れるようになり、かつ従来型のコンサルティングでは日本企業の成長に真に貢献することが困難になりつつある昨今、DTCの存在意義は何かと改めて問い直すと、さらに一歩踏み込んで社会課題の解決や政策立案の支援から関与し、世の中をより良く変えていくことではないかと。
- 入江
- なるほど、社会課題の解決や政策立案の支援まで関わっていくことが、他の戦略コンサルティングファームとは大きく異なるのですね。
- 羽生田
- ええ。こちらに転職して実感したのは、DTCは実にさまざまなツールを有していて、世の中に対して本当にイノベ―ティブな仕掛けができるということ。たとえば、一企業の課題解決の枠を超えて、産業全体、さらには国の経済全体に寄与するルールを形成するためのツールも有していますし、そのレベルから影響力をふるうことができる。日本の経済政策の立案に携われるのは、他の純然たる外資系戦略ファームでは得られないキャリアであり、DTCに参画したのもそこに大きな可能性を感じたから。入社後は、そうしたルール形成から関わってストラテジーを立案実行していくチームを自ら立ち上げて率いています。
- 佐藤
- 私が転職したのも、いま羽生田の話にあった通り、「政策×コンサルティング」で社会に貢献していくチームが新たに生まれ、他では果たせないコンサルティングができることに惹かれたからです。
- 入江
- お二人がいらっしゃるチームが手がけるコンサルティングは、他の戦略ファームとは何が違うのでしょうか。
- 羽生田
- 過去、日本の多くのトップ企業が、戦略ファームと組んでさまざまな経営施策を繰り広げてきましたが、なかには失敗に終わった事案も数々見受けられます。たとえば以前、国内の大手携帯電話会社が、新興国市場に進出すべく現地の同業企業を買収したものの、軌道に乗らずあえなく撤退したこともありました。そこでも戦略ファームが絡んで意思決定を支援していたと思いますが、おそらく我々なら違う答えを用意できた。戦略ファームが考える共存戦略や収益改善などのアプローチは間違ってはいなかったと思いますが、我々であればその国の社会課題解決につながるマーケットを興したり、あるいはその国と他の地域を繋ぐルールを新たに形成することで、従来の競争軸とは異なるところで価値を生み出せたのではないかという想いがあり、それが我々の強いアスピレーションになっています。
- 入江
- 一般の戦略コンサルタントとは、見ている次元が違うという印象です。
- 羽生田
- 我々は日本の競争力を高めていくためのさまざまな仕掛けを繰り広げていますが、ただロビイングに力を費やしているわけではなく、それがプロジェクトワークとして成立し、きちんと収益につながっていることが特筆すべき点だと思っています。すなわち、コンサルティングフィーをいただきながら、我が国にとって意義のある仕事に挑むことができる。たとえば先日、大手物流企業のお客様から、同社が展開する冷凍宅配便サービスを国際規格にして海外市場を開拓したいという相談を受け、そのための活動に取り組んだのですが、そこに政府も関与し、結果的にグローバルにおける日本のサービス業のプレゼンスを向上させる施策だと国からも助成を受けてプロジェクトを進めることになりました。このように業界のリーディング企業と一緒に新たなルール形成を仕掛けていくなかで、国が後ろからフォローしてくるケースもたくさんある。数々の案件に携わった肌感覚として、日本の競争力向上に資する仕掛けをすればきっちりマネタイズができるという確証が得られましたし、自分のやりたいことが明確な方なら、DTCはそれをかなえられる絶好の場だと思いますね。
政府と深く関わり、自分が作った資料が総理に届く。日本に貢献している実感。
- 入江
- 佐藤さんは、前職と比べてDTCでのキャリアにどんなやりがいをお感じですか。
- 佐藤
- 以前のファームに在籍していた時は、言ってみればパートナーが獲ってきた案件をただ回すだけでした。もちろんその過程で勉強になることはたくさんありましたが、結局、どこまでポジションが上がっても担う仕事の質は変わらない。大手メーカーの経営改革であったり、あるいはファンドのデューデリジェンスであったり、戦略ファームにありがちな案件で、そこに強い思い入れがあったわけではない。私が手がけたいのは日本の国のためになる仕事であり、前職では自分の成果がそこに直結している実感はなかった。しかしDTCに移ってからは、戦略コンサルタントとして鍛えた足腰を使いながら、国の政策立案などに携わる機会も与えていただき、非常にモチベーション高く仕事に取り組んでいます。たとえばいま経済産業省の案件に携わり、官僚の方々と一緒にプロジェクトを進めているのですが、以前とは思考のポイントがまったく違いますし、自ずと視座も高くなりましたね。
- 羽生田
- いま政府内で開催されている「未来投資会議」においても、実は佐藤が作成した資料が安倍総理への説明に使われています。いわば霞が関に足りない知恵を我々が提供しており、自らの意見が政策に反映される機会があるというのもDTCならではの醍醐味です。
- 佐藤
- まさか自分が作った資料が総理にまで届くとは思いも寄らず、我ながら驚いたというのが正直な感想です。しかし、そこで自分の仕事が本当に国のためになっているのだと実感し、官僚の方々から頼られていることも肌で感じていっそう大きな価値を発揮しなければと奮い立ち、そんな経験ができただけでもDTCに転職して正解だったと思っています。
- 入江
- お二方が以前に在籍されていたファームと比べて、DTCにはどんなカルチャーがあるとお感じですか?
- 羽生田
- DTCではジュニアやミドルのコンサルタントも個人で情報を発信することが奨励されており、業界内で存在を示して担当領域の第一人者として認知されるような人材になれるということです。佐藤もいまや経産省内で「このジャンルならDTCの佐藤が詳しい」と認められていますし、省内でのセミナー講師などさまざまな依頼が彼のもとに寄せられています。コンサルタントレベルでも自分で仕事を獲ってくることができるのは、他の外資系ファームとの大きな違いだと思いますね。
- 佐藤
- 前職と比べると、手がけている案件の性質もあって、時間に追われなくなった感覚があり、じっくり考えて質の高いアウトプットを出せる。そうした環境でプロジェクトに専念できることも、おつきあいしているお客様からの高い評価につながっていると思います。また、我々のチームはコンサルタント未経験者も含めて実にさまざまな経歴を持った人材が集っており、しかも半数以上が女性。多様性を重んじていることもDTCらしいカルチャーだと感じます。
- 羽生田
- また、海外とも常に密接に関わりながら業務を進めています。グローバル案件の比率は非常に高いですし、お客様とともに海外に赴いて、現地でのルール形成などを通して競争力強化を図っていくようなオポチュニティも豊富にあります。
- 入江
- では最後に、候補者の方々にメッセージをお願いします。
- 佐藤
- 目線を高くして、国や社会が抱える課題に対してグローバルなレベルでアプローチしていきたいという、そうした志を持つ方にぜひ参加していただきですね。
- 羽生田
- 私自身、戦略コンサルで磨いてきた力を活かして、世の中を真に変革していくことのできる手応えをDTCで実感しています。我々の手元にはそのためのツールがたくさんありますし、自ら新しいツールを創り出していくことも十分に可能。極言すれば、デロイトの総合力をフルに活用すれば、できないことなどおそらく何もない。日本がどうあるべきかという根本の議論から加わって、その上で解決策を自らの手で編み出し、国や産業を変えていく。そんな仕事をぜひDTCのモニターデロイトで成し遂げていただきたいと思っています。
(※2018年6月内容を一部改定)
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。