Vol.57

One Capitalで実現したいのは、社会課題を解決するイノベーション。100社の超優良スタートアップと、10社の事業会社の本質的イノベーションを実現すること。自社に無い経験を持つ人材や企業を外部からどれだけ取り込めるかによって、イノベーションの総量は変わる。

One Capital株式会社

取締役COO 兼 ジェネラルパートナー坂倉亘氏

公開日:2020.11.30

インタビュアー 入江・永田

戦略コンサルタントとして20年間大企業のデジタル変革支援に携わり、33才の時に当時最年少でボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のManaging Director & Partnerに就任した坂倉亘氏が、元Salesforce Ventures Japan Headの浅田慎二氏と2020年4月に設立したOne Capital株式会社。「ソフトウェア脳」と「世界最先端の仕組み」で成功したいスタートアップと事業会社を支援することで、日本をアップデートするというミッションを掲げている。坂倉氏の戦略コンサルタントとしてのキャリアや、VC設立の想いについてお話をうかがった。

Message

日本で一番働いた20代。昇進の道を捨て、BCGで下積みから出直すことで力がついた。

入江
なぜ新卒でコーポレイト・ディレクション(CDI)を選ばれたのですか?
坂倉
新卒の時は戦略コンサルタントに絞って就職活動をしていました。オファーをいただいた中でも、CDIは現・経営共創基盤の冨山和彦さんなど、パートナー陣の力量や人間味という面で一番良いなと思いました。コンサルタントは先輩から学ぶ仕事なので、「この人達から学びたい」と。インターン期間も、パートナーから受けるインプットの質の高さや、ディスカッションを徹底的にやる文化が格好いいと思いましたね。コンサルタントを選択した理由は、専門性を持ちたくなかったためです。社会に出たばかりで何も知らないまま特定の業界や職種に就いてしまうと世の中全般が見られないと思いました。幅広い業界を見ることができるという意味では金融も候補でしたが、ファイナンス面に専門性が寄りすぎてしまうと感じてやめました。IT領域がメインになるファームも外して、戦略系のみを受けていました。
入江
CDIには何年間在籍されていたのですか?
坂倉
4年半の在籍でしたが、新人の頃は同期の中でも自他共に認めるビリで、とても尊敬していた湯森さんというケースリーダーに「マウスを動かすのが遅い!」と怒られていました(笑)。当時は非常にロジカルシンキングが弱く、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」を5回ほど繰り返し読むなど、ロジカルシンキングを徹底的に鍛えました。2年後にようやく湯森さんに多少は認めてもらえた感覚があり、そこからは急速に実力がつき、どのプロジェクトでもケースリーダーの補佐ができるようになりました。
入江
その後、BCGに移られた時のお話もお聞かせいただけますか?
坂倉
常にコンサルタント以外のキャリアオプションがあった中で、自分は今後どうしたいのかをふと考えた時に、「まずは自分が納得いくまでコンサルタントを究めたい」と思いました。CDIの人たちは大好きでしたし、CDIで成長を続けるのももちろん魅力的でしたが、それよりも日本で最高峰、かつグローバルファームのBCGでトップティアのコンサルタントを目指すことで自分の成長を加速できるのではないか、と感じました。CDIではちょうどケースリーダーに昇進したタイミングでしたが、思い切ってBCGに転職しました。BCGではアソシエイトとして、再び下積みから出直した形でスタートしました。結果として、基礎力をもう一度磨く良い期間になりました。2年半でBCGでマネージャーに昇進した時に、CDIのときの自分と較べて、圧倒的に力がついたことを実感できました。
入江
坂倉さんにとって、BCGの環境はどのような点がよかったですか?
坂倉
BCGにはグローバルで洗練されたプロセスがあります。例えば、プロジェクト開始時にday1で何をやるかが型として存在しています。具体的には、知見のあるパートナーからインプットを受けた後、紙に落とし込んでケースリーダーと議論し、自分のモジュールの論点と仮説を明確にするというような型です。ケースリーダーが誰であるかに関係なく、皆がそのプロセスの型を実践する。それが最適なスピードでの仮説構築やクライアントとの関係構築につながっています。また、BCGではバックオフィスのサポート体制も充実していましたので、とても頼っていました。クライアントワークに集中できる環境が非常に整っていました。
永田
プロセスが異なる環境で下積みを行うと、アウトプットの質も変わるのですね。
坂倉
アウトプットの質は飛躍的に上がったと思います。BCGはケースチーム内に閉じず、チームを超えて相乗効果でアウトプットの質を高める環境なので、幅と深さとスピードが違います。BCGでは、若いうちは、色々なタイプのプロジェクトを転々と経験する方がコンサルタントの基礎力はつくと思います。僕は極力自分が鍛えられる案件や、やったことがないタイプの案件を選んでいました。厳しいクライアントの方が自分の成長にもつながり、楽することができないので成長につながります。僕の20代は、労働時間で言えば、たぶん日本で一番働いていたと思います。純粋な義務感が理由です。自分やチームのアウトプットが最高水準でなくてはならないという義務感でした。

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コンテンツ型からクライアントマネージ型へ。失敗体験が自分を劇的に変えた。

入江
30代前半でプリンシパル、パートナーとスピード昇進された秘訣は何ですか?
坂倉
本当に周りの人たちのおかげです。コンサルタントはクライアントにサービスする役割ですが、一方で自分の能力開発はクライアントに導かれた部分が大半です。また、一緒に仕事をするメンバーやパートナーにも助けられました。それと、若いころの自分は、ときに上司に従わなかったというのも、結果的に学びの量が増えた要因かもしれません。自分が絶対こうだろうと思った時にパートナーと意見が食い違っていたら、徹底的に引かずに議論して、シニアパートナーに仲裁に入ってもらったこともありました。自分が絶対だと思ったコンテンツは、直接クライアントからフィードバックをもらわないと気が済まなかったですし、そのフィードバックから最も学んだと思います。
入江
パートナーとそこまで議論するには、相当自身で考え抜く必要がありますよね。
坂倉
そうですね。コンサルタントの成長のタイプを大別すると「コンテンツ重視」か「クライアントマネージ重視」かのいずれかであり、僕は完全に前者でした。コンテンツ型の人はクライアントから「目から鱗です」「さすがです」と言われるのが嬉しく、クライアントマネージ型の人は「あなたのおかげです」「ありがとう」という言葉に喜びを感じる。僕は過去にプロジェクトで失敗体験があります。1回目のステアリングコミッティで完成度の高いマテリアルを作ってプレゼンし、クライアントの役員が「なるほど」と良い反応をしてくれたと喜んでいたら、翌日、同じクライアント役員の方からパートナー宛に「今のプロジェクトはダメだ、ちゃんとやってくれ」とクレームが入りました。「え、昨日はホメてくれたのに・・・」と、初めは訳が分からなかったのですが、何がいけないのだろうと考えた時に「とにかく正しいことを言えばいい、インサイトを出せばいい」というコンテンツ思考だけではダメなのだと気づきました。プロジェクトの後半は、当時のパートナーから「クライアントの成功を助けるには、自分が変わらないといけない。コンテンツは15点でもクライアントに成功してもらうことはできる」と徹底的に教えてもらい、素晴らしいコンテンツ作りではなく、別人のようにクライアントマネージに集中しました。僕が変われたのは、その経験のおかげです。プリンシパル時代もクライアントマネージ型で頑張っていたらプロジェクトも多く発注していただけるようになり、パートナーに昇進することができました。若いころは気づきませんでしたが、極論を言えばPowerPoint資料が無くてもクライアントの変革や創造に多大に貢献できればいいわけで、そう切替えられたことが成長につながったと思います。
入江
クライアントマネージは、どうやってできるようになったのでしょうか。
坂倉
僕は脳内で行っていましたが、脳内でできない人には「縦軸にプロジェクトの論点、横軸にクライアントのキーパーソンを並べ、この論点についてキーパーソンはどう考えているか?なぜそう考えているか?」を2週間に1度埋めてみて、と指導していました。もちろん人の考えは全ては理解しきれないものですが、誰がどういう立場・スタンスなのかを、一旦ベスト・ゲスをしないとマネジメントはできません。クライアントへのメッセージは大きく3つあり、「ポジティブ(Yes)」「ネガティブ(No)」「違う視点(New)」のいずれかです。コンテンツ型の人は、この3つのうちのどれであれ、相手の立場やスタンスを踏まえず、言いたいことを言いたい時に言ってしまうので、それではクライアントにしっかりご理解いただくことは難しく、変革は支援できない。例えば、クライアントの役員のAさんは、もともとはこの論点についてはこう考えているが、取締役会や株主総会の前に一度CEOと話すはずで、社長からこういう指摘があるだろうから、その直後のタイミングでクライアントの部長のBさんと一緒にこれを伝えよう、というように考える。3つのうちの「どれを」「いつ」伝えるべきかを考えることがとても重要です。そのために、誰がどういう立場・スタンスかを常時アップデートしていることが必須です。自分自身では人の考えを読めないタイプの方であれば、読める人の力を借りればいいと思います。読める人に聞けばよいのです。

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次の20年は、スタートアップや事業会社の「血の追加と入替え」で、本質的イノベーションを実現できるプロフェッショナルに。

入江
One Capitalを創業された背景について教えていただけますか?
坂倉
大企業のイノベーションは、絶対に自社の社員だけではできないということを痛切に感じてきました。BCGを活用していただいても、企業体質まで本質的に踏み込んだイノベーションを成功させるのは容易ではありません。自分なりの一つの解は、大企業は新興系のスタートアップ企業と本気で血を通わさないと変われない。それを日本で全社的に実現できている会社は、トラディショナルな業界では1社もありません。また、スタートアップについても、成功しているスタートアップは経営チームに優秀なタレントを外部から招聘したり、スタートアップ企業間での交流やコラボレーションが盛んですが、それができずに伸び悩むケースがとても多いです。また、大企業とのコラボレーションが上手くないです。職業人生が60年あるとすると、最初の20年は戦略コンサルタントでしたが、次の20年はスタートアップの育成と事業会社の本質的なイノベーションをやりたい。その手段はコンサルティングではなく、「血の追加と入替え」をどんどんやれるプロフェッショナルになりたいというのがBCGを辞めようと思った動機です。「血の追加」「アクハイアリング」「大企業とスタートアップの間の協業」をやっていかないと変わらない確信があります。よって、VCと事業会社を組み合わせたスキームを創りあげる為に、日本のトップクラスのベンチャーキャピタリストである浅田慎二さんと組んで、全く新しい事業モデルを作りました。
入江
One Capitalのビジネススキームについて、ご説明いただけますか?
坂倉
One Capitalが設立したファンドがあり、そこに事業会社から出資していただきます。通常のVCと異なり、当社は出資先のスタートアップへのハンズオン育成に加えて、出資いただいた事業会社のイノベーションを10年にわたり無償でアドバイスするというビジネスモデルです。スタートアップ育成も事業会社イノベーションも、浅田さんと僕の二人で担当しており、外部のエキスパートもチームアップして、バーチャルチームでスタートアップ育成と事業会社のイノベーションを進めています。スタートアップや事業会社側から見ると、世の中の多方面のエキスパートをOne Capitalが最適にチーミングしてくれて、One Capitalとワン・チームで無償でイノベーションのアドバイザリーをやってくれるという形です。
永田
ファンドに出資いただく企業について、選定基準はありますか?
坂倉
10年かけて全社のイノベーションを本気でやりきる決意と構造を持つ会社です。日本の事業会社で、社内政治が強かったりタコツボだったり根回し文化だったり、という会社は本質的なイノベーションは絶対に起こせない。その中でOne Capitalは「血の追加」をクライスさんと一緒に推進しています。今いる人でできないのであれば、イノベーションを起こすために新しい人が入らないと実現はできません。One Capitalがアドバイスするのは中長期のダイナミックなイノベーションであり、それに共鳴して飛び込んできてくれる優秀なタレントを採用し続けないといけない。自社に無い経験を持つ人がどれだけ入ってくるかで、イノベーションの総量は変わります。
入江
採用以外の領域では、どのようなエキスパートとチームを作っているのですか?
坂倉
成功しているスタートアップの経営者や、AI・IoT・UI/UX・プラットフォーム・知財・ブランディング/PR・IT・コンサルティング会社などですね。今は副業の時代ですし、同じイノベーションのテーマを経験したエキスパートとネットワーキングできる時代なので、テーマに応じて外部エキスパートにバーチャルでチームになってもらいやすくなっています。現在も、著名なソフトウェア企業のCTOやCOOとチームを組み、スタートアップや事業会社へのアドバイザリーに取り組んでいます。
入江
One Capitalで実現したいことは何でしょうか?
坂倉
100社のユニコーン企業を創ることと、10社のイノベーションをやり切ることです。
創業して良かったと思うのは、自分達がつくった会社で自分達が死んだ後も誰かがその魂を受け継いで実現していってくれると感じられることです。自分が生きているうちにすべてが実現できるとは考えていません。子供を生んだような感覚です。そう思うと意義がある新しいビジネスモデルだと感じていて、ぜひそれを実現したいです。
入江
私も坂倉さんの目標を一緒に応援できるのは非常にやりがいを感じます。最後に、One Capitalや、One Capitalの支援先に興味がある方へのメッセージをお願いします。
坂倉
世の中において存在意義が大きい会社を、デジタル時代に更に成長していけるようにイノベートしていき、スタートアップを育成しながら、事業会社の本当の意味でのオープンイノベーションを実現することで変えていく。そうすることでスタートアップも伸びる、事業会社も変革するということをOne Capitalと一緒にダイナミックに実現できればと思いますので、ご興味をお持ちいただける方は是非一度お会いさせていただければと思います。また、クラウドやAIなどのスタートアップの皆さん、投資希望の事業会社の皆さんからのコンタクトもお待ちしています。

構成:神田 昭子
撮影:櫻井 健司

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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