戦略に「意志」を乗せて、組織を末端まで巻き込んで実行。そんな経験を重ね、事業を本当に動かせる力が身についていく。株式会社リクルートライフスタイル 松本晶子氏 坂本陽平氏

Vol.46

戦略に「意志」を乗せて、組織を末端まで巻き込んで実行。そんな経験を重ね、事業を本当に動かせる力が身についていく。

株式会社リクルートライフスタイル

営業統括本部 旅行営業統括部 事業推進部 部長松本 晶子氏

営業統括本部 旅行営業統括部 事業推進部 旅行領域企画グループ グループマネジャー坂本 陽平氏

公開日:2018.10.24

インタビュアー 入江・永田

リクルートグループにおいて、旅行、飲食、美容、通販、ヘルスケアなど日常のさまざまなシーンのカスタマー行動支援にとどまらず、クライアントの業務支援から経営支援まで、幅広くサービスを提供しているリクルートライフスタイル社。その成長を牽引する事業企画部門では、コンサルタント経験者も多数活躍している。外資系コンサルティングファーム出身で、現在部門の責任者を務める松本氏とマネージャーの坂本氏に、同社でキャリアを積む醍醐味などについてうかがった。

Message

豊富なリソースを持ち、ベンチャー気質もある。新規事業を起こすには絶好の環境。

永田
まずは松本さんから、リクルートにご入社されるまでの経歴を教えていただけますか。
松本
私は理工系の大学院を修了後、新卒で外資系コンサルティングファームに入社しました。それまでビジネスの世界にはまったく縁はなかったのですが、就職を考えた時、研究職に一生を捧げるのはちょっと違うかなと……私が手がけていた研究はひたすらデータを採集して分析し、ひとつの数値を出すのに半年かかるようなこともざらでした。ダイナミズムに欠けていて、あまりに時間がかかるので探究心もなかなか満たされない。そこに物足りなさを感じて、大学院でいったん研究活動は終了し、違う方向に進もうと。その際、特に業界にこだわりはなかったので、いろんな企業に関わって若いうちから力を鍛えられるコンサルティングファームを就職先に選びました。そこでさまざまな戦略コンサルティングの案件に3年ほど携わった後、2005年にリクルートに転職しました。
永田
松本さんが転職をお考えになられるようになったのは、どのような経緯からですか。
松本
お客様の現場にまで入り込んで経営戦略を考えるコンサルティングの仕事は面白かったのですが、あくまで私たちはアウトプットを出すだけで、やはり最終的な決定権はクライアント側にある。またキャリアを積んでも、扱うプロジェクトの内容はほとんど同じで、ロールが変わっていくだけ。そうした環境に違和感を覚えるようになり、もっと自分が主導して、起伏のある仕事がしたいと転職を意識するようになりました。
永田
リクルートを転職先に選ばれたのはどうしてですか。
松本
当時の私は成長したいという気持ちが非常に強く、それまで経験したことのない「営業」に敢えて挑戦したいと、営業力に定評のあるリクルートを選びました。入社時も、営業がいちばん強い組織に入りたいと希望し、超大手企業の人材採用や育成に関する営業を担当するチームに所属。営業は不得手だと思っていたのですが、コンサルタント時代に培った「お客様に入り込んで提案する」という経験を活かし、信頼を獲得したり、大きな期待をいただくことができ、やりがいを感じることができました。しかし、自分のスタンスがあまりにクライアント側に寄っていたため、今度は事業サイドを経験したいと希望し、当時の新規事業であった「就職Shop」(若手人材に正社員就職を支援するサービス)の起ち上げを担いました。
永田
リクルートでは、ご自身のやりたいことを次々とかなえられる環境があったのですね。
松本
ええ、異動したい部署に直接アプローチできる“Career Web”という制度があり、自分の意志でキャリアを選べるのです。「就職Shop」の起ち上げにあたっては、小さな組織でしたので中長期計画から収支管理、プロモーションやスタッフのKPI設計まで、未経験ながらも幅広く任せてもらいました。とてもいい経験でしたが、すべて自分流で進めていたので新たな知見を得たいと、再び“Career Web”を活用して旅行事業部門に異動。以降は事業企画、事業開発畑でキャリアを重ねています。途中、出産・育休を経て、現在は事業推進部を担当しており、旅行領域の中長期計画立案や、じゃらんの宿泊予約やダイナミックパッケージ、インバウンド、アクティビティ等のサービスのさらなる成長を目指して、日々試行錯誤を楽しんでいます。
永田
坂本さんはどのようなご経歴ですか。
坂本
私はリクルートで4社目です。学生時代、国際協力に携わりたいと考えていたのですが、新卒で国際協力機関に入るのは難しいと聞き、そのために必要な英語力や問題解決力、マネジメント力などを身につけたいと、マッキンゼーに入社して経営コンサルタントを最初のキャリアに選びました。そちらに2年ほど在籍した後、NGOに参画して当初の希望だった途上国支援に関わり、海外に赴任。南スーダンで内戦終了後の復興支援に携わっていた時、東日本大震災が起きて日本が大変な事態に陥り、急遽帰国して東北の復興支援に取り組むことに。被災した地域企業の事業再興のサポートにあたったのですが、そこで地方再生がこれからの日本にとって重大なテーマであると強く認識し、地方再生を専門に手がけるコンサルティングファームに移籍しました。そちらのファームでは業績不振の地方企業に常駐し、経営者と一緒にターンアラウンドしていくポジションを担い、とてもやりがいを覚えていましたが、事業が再生して軌道に乗り始めるとコンサルタントはやはりコストがかかるので、その会社から離れることになる。自分で起こした事業を成長させきるところまで関わりたいと、また転職を考えるようになったのです。
永田
坂本さんはどうして、新しいキャリアの場としてリクルートを選ばれたのでしょうか。
坂本
新しい事業を起ち上げるにあたって、あまりに小さな会社だとやはり制約がある。ある程度、組織力や営業力、開発力のある企業に身を置きたいと考えていて、その点、リクルートは豊富なリソースを持ちながらベンチャー気質があり、そうしたハイブリッド感に魅力を感じました。

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ここでは「意志」が問われる。それがヒットすれば、日本全体に影響を及ぼせる。

入江
お二方は、いまの仕事のどんなところにやりがいを感じていらっしゃいますか。
松本
我々は旅行領域の事業企画に携わっていますが、当社の場合、良くも悪くも属人的なんですね。どんな提供価値で、どんな高さを目指すのか、どんな戦略で実現するのか、各自に大きな自由度と裁量が与えられていて、誰がやるかで成果が大きく変わります。だから、どこまでも突き詰めて考えるし、周囲の協力者を巻き込み、できる限りの情報を集め、様々な仮説の中でプランを練っていく。その分、成果が出た時の達成感や喜びも大きい。そんな環境を楽しめる、強い思いや熱量を持った人間が活躍できる会社であり、そこに私はとても魅力を感じています。
入江
御社の事業企画は、それぞれ担当領域を任されて進めていくのでしょうか。
松本
ええ。サービスごとにグループが形成されていて、たとえばインバウンド領域での事業企画の担当になると、このマーケットでどう提供価値を拡大し、サービスを成長させるかをそれぞれ自分で考えていく。解が見えているわけではないので、具体的な指示はありません。当事者が一番マーケットを知り、一番考え抜いて、一番良いと思う方法を起案し、必要なリソースを獲得して実行に移していく。ですからゴール設定にメンバーの「意志」が入るんですね。事業をもっと高く成長させたいと思えば、それも担当者次第。意志が強ければ、多少リスクがあっても起案が通ることもある。ある意味、起案者の熱量が、「こいつなら走りながら考えて今は見えないものを実現するかもしれない」、ということへの期待になるのかもしれません。やってみなければ分からないことはとても多いので、チャレンジすることを大事にしています。そのチャレンジの総量が、サービスと人の成長につながるのかな、と思っています。
入江
坂本さんはコンサルタントから転身されて、こうした環境にギャップを感じることはありませんしたか。
坂本
正直戸惑いました。いま松本さんが言われた通り、「お前は何がしたいのか」と常に自分の意志を問われるんですね。コンサルタントは、問題解決のための選択肢をいくつか示して優先順位づけし、最終的にはクライアントに決断してもらうスタイルですが、ここでは自分が主導して計画を立てていかなければならない。時間的な制約もあり、不十分なファクトとロジックから、自分がどうコミットしていくかを示さなければならないケースもある。当初はそこに難しさを感じました。
松本
それはコンサルタント出身者が最初にぶつかる壁かもしれませんね。コンサルタントは外部の立場からお客様と一緒にスコープを設定し、それに応えるアウトプットを作り上げていく。そうした仕事の進め方が染みついているので、いざ「事業を成長させるための戦略は自由に考えていい。あなたは何がやりたいのか?」と問われると、なかなか意志を注入しきれないんですね。当社では確固たる意志がないと物事は動かないことも多いので。
入江
戦略に「意志を注入する」というのは、リクルートらしいですね。
松本
あと、コンサルタント出身者が直面するもうひとつの壁は組織マネジメントや関係者の巻き込み方でしょうか。いくら優れた戦略を立てても、そこに関わる人が動かなければ成果が最大化しない、というのが我々の考え方。ですから、営業担当、開発担当、集客担当、カスタマーサポート、法務・経理など多くの関係者に自分の意志を伝えて、彼らがモチベーションをもって動ける状態を作ることが非常に大切なのです。たとえば、自分が立てた戦略を成功させるため、全国を巡って営業担当者向けの説明会を開催し、『この事業はこんなにも大きな可能性を秘めている。こうやれば事業は大きく伸び、クライアントにも喜んでいただける』と熱い想いをもって説いて回ったり……そうした組織の巻き込み方はやはり経験しないと身につけられないと思いますし、逆にそれができれば、当社の顧客接点は強力なので事業を大きく成長させることができる。
坂本
確かにハマった時の展開力は凄いですし、日本全体に影響を及ぼすほどの力があると思います。先日、地方でイチゴ農園を営まれているクライアントにインタビューする機会があったのですが、それまで70棟ほどのビニールハウスで運営されていたのが、当社が起ち上げたレジャー・アクティビティのネット予約サービスも用いてイチゴ狩りの集客を図ったところ、評判を呼んでハウスを100棟強にまで拡充されたとのこと。農園の経営者の方は「ここを雇用の受け皿にしたい」「イチゴ狩りのお客様に地元の農作物も販売したい」と意気込んでいらっしゃって、我々のアクションが地域経済を元気にしていることを実感しました。当社が介在することで、クライアントとカスタマーをマッチングさせて新たな市場を生み出し、地方が抱える課題の解決にも貢献していく。そうした意義ある仕事に挑むこそ、「意志」が求められるのだと思いますね。

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リクルートはなぜ人材輩出企業と呼ばれるのか。その理由をぜひ体感してほしい。

永田
リクルートグループは、人生に関わるさまざまな領域でサービスを展開していますが、ライフスタイル社ならではの面白さはどこにあるとお考えですか。
松本
当社が手がける旅行、飲食、美容などの日常消費領域は裾野が広く、新しいサービスを生み出せる可能性は非常に大きいと思いますね。住宅購入や結婚などは一生に一回のイベントですが、日常消費はアクションが繰り返されるので、カスタマーの行動データが膨大に溜まっていくんですね。それをもとに小売業やサービス業のクライアントを巻き込んでのO2O施策を企画したり、データドリブンでのプロダクト開発もいろいろと考えられる。
事業の領域も、メディアによる広告ビジネスを超えて、クライアントの業務支援や経営支援にまで及んでおり、打ち手の幅も広い。新しいビジネスを起こせる機会はまだまだたくさん残されていると思います。
坂本
当社のビジネスは、カスタマーとして自分がサービスを実感できるのがいいですね。個人的に旅行にもよく出かけていますし、そこで気づいたことを自分の仕事にフィードバックできるのも面白いです。
永田
松本さんはもう10年以上リクルートに在籍されていますが、この会社を離れずに長くキャリアを重ねていらっしゃるのはどうしてですか。
松本
飽きないんですね。“Career Web”を利用して私はこれまで2回、自分自身でポジションを変えてきましたし、日常消費の領域は環境の変化が激しいので、絶えず新しい課題が降ってくる。そこに常に向き合い続けているので暇になる余裕がない(笑)。あとはこの会社の文化が私は好きです。一緒に事業をやっている仲間がみな同じ熱量を持っていて、頑張れば頑張った分だけ成果に現れる。それが純粋に楽しくて、気がついたら10年以上経っていたという感じです。
永田
坂本さんはリクルートが4社目とのことですが、この会社ならではの魅力はどこにあるとお感じですか。
坂本
とにかくチャレンジできる機会が多いということですね。事業を企画して予算に届かなかったとしても、そこで得た学びを次に生かせばいい、というスタンスが重視されていると感じます。失敗しても前に進もうという意志が評価される環境で、それは当社の魅力だと思いますね。
永田
リクルートは世間から人材輩出企業だと評されていますが、優柔な経営人材が育つのはどうしてなのでしょう? 松本さんはどう捉えていらっしゃいますか。
松本
何かひとつ事業を動かす時の執着心や細部への拘り、組織の巻き込み方というのは、当社の場合、やはり凄いと思いますね。営業担当者に渡すペラ一枚の資料まで、疎かにせずに丁寧に作り込んでいきますし……どうすれば本当に組織が動くのか、考えに考え抜いて事業計画を立てていく。もしそこに穴があると現場は動かない、ということを肌で理解しているんですね。そして戦略を立案して実行するのも非常に速い。すべてを検証していくと事業のスピード感が失われるので、課題を想像力で潰していく。初めてのことにチャレンジする時も、何もわからないなかで妄想を繰り返して道筋を立てていく。たとえ失敗してもそこから得た新たな知見を次に活かして、また新たなチャレンジができる。そうした経験を何度も重ねることで、事業企画や経営に求められる力がおのずと身についていくのだと思います。
永田
なるほど、だから御社では経営人材が育つのですね。では最後に、新しいキャリアをお考えのコンサルタントの方々へメッセージをいただけますか。
松本
コンサルタントの方はみなさん「考えること」が好きですよね。でも、誰かにOKをもらうために思考力のリソースを費やすのはもったいないと思うんです。自分が興味関心のある領域で、世の中をもっと良くするためのサービスや施策を考え抜き、その実行を任されて自由度の高い環境でやり切っていく。そして経験を積めば積むほど自分のスキルが向上し、もたらす成果も大きくなっていく。そんな醍醐味をみなさんもここで堪能していただきたいです。
坂本
リクルートは顧客接点力や開発力が秀でているので、自分が考えて組み上げた新規事業が、物凄いパワーやスピードをもってスケールアップしていく。そのダイナミズムはぜひ味わってほしいですね。コンサルタントのみなさんのなかには、想像力を働かせて論理を構築し、課題解決のための筋道を立てていくのが得意な方はたくさんいらっしゃるはず。そこに自分の「意志」を乗せれば、ここは本当にやりたいことを何でも実現できる場だと思います。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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