30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。

Vol.20

30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。

A.T. カーニー株式会社

パートナー筒井 慎介氏

公開日:2015.01.14

インタビュアー 入江

大手カード会社に10年弱在籍した後、コンサルタントとして新たなチャレンジがしたいとA.T. カーニーに転職した筒井慎介氏。彼を決意させたのは、日本のための力になりたいという思いと、そして自らの成長に対する危機感だった。筒井氏はなぜA.T. カーニーを選び、そしていま、A.T. カーニーでどんなキャリアを手に入れているのだろうか。

Message

かつての日本の勢いを、取り戻す力になりたい。

入江
A.T. カーニーに転職されるまでのご経歴を教えていただけますか。
筒井
私は2000年に大手カード会社のJCBに新卒で入社しました。最初に配属になったのは情報ネットワーク部で、当時ちょうどクレジットカードがICカードに切り替わるタイミングであり、それを推進していく業務に5年ほど携わりました。この間、VISA やMasterCardなど海外のカード会社と共通化を協議したり、あるいはJCBの海外における取引先へのICカード対応などにあたるため、よく海外にも赴いていました。その後、部署を異動して電子マネーの立ち上げに関わることに。セブン&アイホールディングスが展開する電子マネーの“nanaco”の開発をJCBは野村総合研究所とともに担ったのですが、そのプロジェクトに参画しました。2年半ほどそこに関わった後、今度はまったく畑違いの人事に異動。社内の人事制度改革プロジェクトにアサインされ、新たな人事制度の構築を1年ほど手がけた後、2009年にA.T. カーニーに転職したという次第です。
入江
そもそもどうしてJCBを就職先として選ばれたのでしょう。
筒井
実は私は理系出身で、もともとはテクノロジー志向でした。しかし、研究職のような技術だけを究めていくキャリアには興味が持てなかった。そこにはビジネスの匂いが感じられず、私としては「技術を市場でどう活かすのか?」というレベルまで踏み込みたいと考えていました。それで、社会に広く影響を及ぼせるコンサルタントに興味を覚えたのですが、当時の私には得体のしれない世界で、将来コンサルタントの道を進むにしても、まずは実務を経験しておいたほうがいいのでは、と。JCBを選んだのは、決済サービスの可能性に惹かれたから。通信技術の進歩により、これから新たな決済サービスが普及して世の中が変わっていくと感じ、そこにテクノロジーをもって関わりたいとJCBを志望しました。最終的な決め手となったのは、これはA.T. カーニーに転職した時も同様だったのですが、「この人と一緒に仕事がしたい」と思える方が多かったことですね。
入江
もともとコンサルタントには興味をお持ちだったのですね。ご自身がA.T. カーニーに転職された時は、もう30歳を超えていらっしゃったかと思いますが、そのタイミングでコンサルタントへの転身を決断されたのは、何か契機がおありだったのでしょうか。
筒井
結果としてJCBには9年在籍したことになりますが、いまとなって思えば、もう少し早く決断してもよかったかもしれません。実は、最初の部門でICカード化推進に携わっていた時から、コンサルタントへの転身を少し意識し始めていました。先ほどお話ししました通り、当時は海外に出張する機会が多かったのですが、2000年代初頭の頃は空港に着いてタクシーでホテルに向かう道中、車窓から目に入ってくるのは日本のメーカーの看板ばかりでした。それが2000年代の半ばになると、日本企業の看板がめっきり減り、代わって韓国のメーカーの看板が目につくようになってきた。私はそれまでナショナリズムなど特に意識したことはなかったのですが、ここまで日本企業の凋落を目の当たりにすると、かつての勢いを取り戻したいという思いがおのずと湧いてきたのです。そして、その力になれるのは、やはりコンサルタントではないかと。

が、その後忙しい日々を送っているうちに、その時抱いた感慨も薄れてきて、キャリアを積むと社内での居心地もよくなり、知らず知らずのうちにそうした状況に満足してしまっていました。そして30歳を超えた時、ふと我を省みると「このままでいいのか」という危機感が……居心地が良いというのは、つまり、仕事を進めるうえで壁を感じていないということ。壁にぶつからなければ、成長のきっかけもない。自分の社内価値は上がっているかもしれないが、市場価値は停滞しているのではないか? いま置かれている環境で、私の裁量が急に大きくなるわけでもない。そう思うと急に焦燥感が募ってきて、この歳で行動を起こさないともう外には出られないかもしれないと考え、コンサルタントへの転身を決意したのです。

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30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。 30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。

「仮説思考」と「伝える力」が、非常に鍛えられた。

入江
転職先としてA.T. カーニーを選ばれたのは、どのようなお考えからですか。
筒井
いくつかコンサルティングファームを検討し実際に面接も受けたのですが、A.T. カーニーの方とお話しさせていただいた時、インテリジェンスだけではなく「熱意」のようなものを強く感じました。泥臭さというか、本当に実行することに拘り地に足をつけて仕事をしている様子がうかがいしれて、ここなら面白い仕事ができるのではないかと。以前お目にかかったコンサルタントのなかには、極端なエリート意識を漂わせている方もいらっしゃって、個人的にそうした人と一緒に仕事をしたくはなかった。コンサルタントだからといって別に偉いわけじゃない。多々ある専門職のひとつだと考えていましたので、私とは価値観があわないだろうと。
入江
実際に入社されてみて、A.T. カーニーの印象はいかがですか。
筒井
まさに私が感じた通り、熱い人間が揃ったファームだと思いますね。お客様からいただリクエストに対しても、これに応えることが正しいのかと本質的なところから議論を戦わせ、もしお客様の利益にならないと判断すれば、「やるべきではない」とはっきり否定する。それが必要だと判断すれば、お客様と対立することも厭わない(笑)。第三者的に関わるのではなく、お客様のもとに意思を持って入り込む。そうした風土はとても気に入っています。
入江
ご自身は事業会社からコンサルティングファームに移られてきたわけですが、マインドセットやスキルの面で、どのようなギャップをお感じになられましたか。
筒井
越えなければならないハードルがいくつかありました。マインドの面でいえば、「上司と本気で意見を戦わせることができるか」ということ。私はそれまで大企業に9年在籍していましたので、どうしても組織のルールで上役の指示に従って行動する習性が染みついていた。一方で、A.T. カーニーは、役職で遠慮する必要はない、遠慮するぐらいなら会議に出る必要はない、という考え方。意見を言わないことが悪であるというカルチャーなので、それに自分をフィットさせることに少し戸惑いました。

スキルについていえば、2つあります。ひとつは、コンサルタントに求められる「仮説思考」。当初、私は「仮説」という言葉を使うのに抵抗がありました。内心「思いつきと何が違うの?」と訝っていて、「仮説」と言えば何でも許されると思うなよ、と(笑)。でも、実際にこの仮説思考に触れると、私が考えていたレベルとはまったく次元が違うものだった。豊富な知識をベースに、「これは正しいに違いない」と判断したことを積み上げて、論理的に結論を推察していく。ただの思いつきではなく、きわめて高度な思考が求められるのだと気づき、いまは私もこの仮説思考を身につけて案件に臨んでいます。

そしてもうひとつは「伝える力」。自分が手がけたことはすべて報告したいと思いがちですが、ここではそれをやるとまず咎められる。聞く側にとって、全部伝えることが本当に必要なのか?と。「要は何なのか」という本質にフォーカスし、メッセージをできるだけ研ぎ澄まして、いかに早く、わかりやすく伝えられるかが求められる。私たちが接するのは企業の経営層であり、みなさん時間のない方ばかり。過去には、クライアントから「社長が本社から駅まで社長車で移動する10分間で説明してくれ」とオーダーされたこともあります。ですから、伝えることに関して非常に意識するようになりました。この「伝える力」が身につくと、短時間で中身の濃いコミュニケーションができますし、相手の方からも「またこいつと話がしたい」と思っていただける。このスキルはたいへん価値があると思いますね。
筒井
越えなければならないハードルがいくつかありました。マインドの面でいえば、「上司と本気で意見を戦わせることができるか」ということ。私はそれまで大企業に9年在籍していましたので、どうしても組織のルールで上役の指示に従って行動する習性が染みついていた。一方で、A.T. カーニーは、役職で遠慮する必要はない、遠慮するぐらいなら会議に出る必要はない、という考え方。意見を言わないことが悪であるというカルチャーなので、それに自分をフィットさせることに少し戸惑いました。

スキルについていえば、2つあります。ひとつは、コンサルタントに求められる「仮説思考」。当初、私は「仮説」という言葉を使うのに抵抗がありました。内心「思いつきと何が違うの?」と訝っていて、「仮説」と言えば何でも許されると思うなよ、と(笑)。でも、実際にこの仮説思考に触れると、私が考えていたレベルとはまったく次元が違うものだった。豊富な知識をベースに、「これは正しいに違いない」と判断したことを積み上げて、論理的に結論を推察していく。ただの思いつきではなく、きわめて高度な思考が求められるのだと気づき、いまは私もこの仮説思考を身につけて案件に臨んでいます。

そしてもうひとつは「伝える力」。自分が手がけたことはすべて報告したいと思いがちですが、ここではそれをやるとまず咎められる。聞く側にとって、全部伝えることが本当に必要なのか?と。「要は何なのか」という本質にフォーカスし、メッセージをできるだけ研ぎ澄まして、いかに早く、わかりやすく伝えられるかが求められる。私たちが接するのは企業の経営層であり、みなさん時間のない方ばかり。過去には、クライアントから「社長が本社から駅まで社長車で移動する10分間で説明してくれ」とオーダーされたこともあります。ですから、伝えることに関して非常に意識するようになりました。この「伝える力」が身につくと、短時間で中身の濃いコミュニケーションができますし、相手の方からも「またこいつと話がしたい」と思っていただける。このスキルはたいへん価値があると思いますね。

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30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。 30歳を超えた私を襲った焦燥感。居心地の良い環境をなげうち、「日本」を堂々と語れる場で、社会を変える仕事に挑む。

いま、自分の仕事に心から誇りを持っている。

入江
ご自身は2009年にA.T. カーニーに入社されてから、これまでどのような案件を手がけてこられたのですか。
筒井
当初の2年ほどは、特に自分の専門領域を設けず、既存事業のコスト削減から売上アップ、さらには新規事業戦略の立案まで、多様なテーマに携わりました。クライアントの業種も金融、通信、流通、物流など多種多様。そして2011年の東日本大震災をきっかけに思うところがあって、「エネルギー」を自分のメインテーマにしてキャリアを積んでいこうと決めました。エネルギー分野に関する知見など入社するまでまったくなかったのですが、たまたま3年目のアソシエイト時代にエネルギー関連の案件に携わる機会があって、これは面白そうだなと。マネージャーのポジションに就いた時、これを自分の専門分野にしようと決意したのです。
入江
御社では、前職のキャリアとはまったく関係ないテーマにもチャレンジできるのですね。
筒井
基本的に個人の意欲を尊重してくれるので、その点もA.T. カーニーを選んで良かったと思うことのひとつです。震災を契機に、日本という国のことを想う気持ちがいっそう募り、なかでもエネルギーに対する問題意識を強く抱くようになりました。エネルギー事業者の個社の立場でも、国益に資するような事業でないとサステナブルとはならないので、エネルギーに関する課題を解決することは企業益と公益の双方につながりますし、この意義あるテーマにぜひチャレンジしてみたいと。
入江
前職でもお感じになっていた「日本を何とかしたい」という気持ちが再び燃え上ってきたのですね。
筒井
これもA.T. カーニーの魅力のひとつだと私は感じているのですが、「これから日本をどうすればいいのか?」という熱い議論を社内で普通にできる。誰もそれを冷めた目で見ない。そして実際、行政の動きが日本のためにならないと思ったら、役所に赴いて自分たちの意見を話しに行くこともあります。
入江
自ら行政に意見を述べに行くわけですか。それは素直に感服します。
筒井
A.T. カーニーは過去に官公庁の案件も多数手がけており、信頼も得ています。行政側から「知恵を貸してほしい」というオファーもたびたび寄せられます。私も2013年の半ばから1年ほど、経済産業省の資源エネルギー庁に出向し、電力改革の政策立案に携わりました。また、現在は京都大学で特任准教授も務めているのですが、京都大学の先生方と一緒にエネルギー政策について共同研究を進めています。自ら望めば、こうした貴重な機会をいくらでも得られる。
入江
確かに、事業会社に身を置いていたのでは、「日本を語る」ような機会はないかもしれませんね。
筒井
エネルギー政策は、これからの日本にとってきわめて重要なもの。その意思決定に関わり、若干ではあるかもしれませんが、その方向に影響を与えられる立場にいま私はあります。もしかしたら何の影響も与えていないのかもしれませんが、「私が日本のエネルギー政策を変えている」と錯覚できるだけでも幸せなキャリアではないかと思っています(笑)。
入江
では、ご自身にとってA.T. カーニーへの転職はまさに正解だったわけですね。
筒井
実は労働時間も前職と比べて減っているんです。確かにハードな仕事ではありますが、自分で業務をコントロールできるようになると、時間もフレキシブルに使える。家族と過ごす時間が増えて、プライベートは以前より充実しています。自分のやりたいことを選択して、仕事に心から誇りを持てるようになりましたし、本当に充実したキャリアを送ることができていると実感しています。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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