Vol.54

どんな企業と関わり、どんな経営者とつきあい、 どんなテーマを手がけるか、自由な切り口で 自ら動いて判断していく。それも 「働く株主®」を掲げるみさき投資だからこそ。

みさき投資株式会社

代表取締役社長中神康議氏

エンゲージメント投資 マネージング・ディレクター中尾彰宏氏

公開日:2019.12.26

インタビュアー 入江・永田・山本

「働く株主®」という斬新なコンセプトを掲げ、従来の日本にはなかったアプローチで上場企業の企業価値向上を図るみさき投資。現ファンドを起ち上げてからはまだ日は浅いものの、すでに多くの企業の経営者から注目を集める存在となっている。コンサルタント出身者がみさき投資に参加する魅力や、仕事の醍醐味、ここで得られるキャリアについて引き続きお二方に話をうかがった。

Message

「投資家」と「経営者」は、実は相似している。だからこそ我々が選ばれる。

永田
中神さんは「働く株主®」を掲げてみさき投資をスタートされたわけですが、世の中からの反応はいかがですか。
中神
いま日本企業の経営者は、ガナバンス改革という大きな流れを受けて、資本市場とどのように向き合って自社の価値を高めていくか、みなさん悩まれているんですね。そんななか、「働く株主®」を掲げるみさきに関心を示してくださる経営者の方も増えています。つい先日も、時価総額1兆円規模の企業のトップの方が、わざわざこの小さなオフィスに足を運んでくださり、「投資家の立場から経営の改善点について指摘してほしい」というご依頼をいただきました。実は最近、経営者の方から「自社に対するみさき投資の考えを役員会でプレゼンしてくれないか」というご依頼をいただくことが多く、経営を分析して正式に取締役会の場でプレゼンさせていただいたのはこの1年でも5~6社ほどありました。
永田
そこまで経営者の方々から注目され、相談相手として選ばれるのはどうしてなのでしょうか。
中神
よく考えてみてください。実は「投資家」と「経営者」というのはまったくの相似形なんですね。我々ファンドを運営する投資家は、お金を預かって投資判断を行い、市場でリターンを上げて返していくという営みをしています。経営者も実はこれと全く同じことをしているんです。経営者の仕事はジャッジすることだとよく言われますが、何の判断がいちばんシビアかといえば、それはいわゆる「投資」なんです。大規模な設備投資もそうですし、M&Aもそう。株主から預かったお金、銀行から融資を受けたお金を使って、何にどれだけの金額で投資をし、どれだけのリターンを出すか。煎じ詰めればそれが経営者だけにできる仕事なんですね。こうした投資判断は大衆討議に向かない。だから「経営者は孤独だ」と言われるんですね。したがって投資家と経営者は本質的に責務を共有しているといえるし、したがって投資家のセンスを企業経営に注入するのは、とても意味のあること。もし、その企業に究極の経営判断ともいえる投資のセンスが欠けているのであれば、我々が関わることで経営を良くしていくことができる。
永田
「投資家」と「経営者」は別物のように見えて、実は深いところで通底しているんですね。
中神
そう。我々は投資の重み、厳しい意思決定の重みを理解しているからこそ、経営者の方々と通じ合うことができる。経営者にとって最も重要でシビアな仕事である、「投資」について助言を得たいと思った時、経営コンサルタントでも銀行でも証券会社でもなく、我々に声がかかるのは実は自然なことだと思いますね。
永田
中尾さんは経営コンサルティングファームからみさき投資に移籍されて、こちらでキャリアを積む面白さややりがいをどうお感じになられていますか。
中尾
コンサルティングファームと比べて大きく異なるのは、自分から「この企業を支援したい」「この経営者と一緒に仕事がしたい」と能動的にアプローチできることですね。コンサルティングビジネスはどこまでいっても発注-受注の関係なので、自らクライアントやテーマを決められないことが多いでしょう。その点、私たちは日本の上場3,600社の中から、成長のポテンシャルを秘めている企業を自らの目で見極め、株主となり、関係を築き、あらゆるテーマで経営に向き合っていくことができるのです。その際、成長余地が見えている限りはとことんお付き合いできる「無期限」であることもやりがいに感じます。コンサルティングだと「もうちょっと関わりたい」と思うときに限ってクライアントの予算制約を受けてしまう、なんてことがよくありますからね。一方で先ほど中神が触れたように、投資先の選定やイグジットのタイミングにおいて常に「ジャッジ」する姿勢が求められます。ファンドで預かっている莫大な資金をそこに投じていくわけですから、リターンを上げなければ自分の責任になる。この覚悟の持ち方はコンサルタントとまた違う世界ですね。

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PEファンドと比べて、投資家として経験できることの幅や深さが圧倒的に違う。

永田
中神さんご自身は、コンサルタント出身の方がみさき投資でキャリアを積む意義を、どのようにお考えですか。
中神
いま中尾がお話しした通り、おつきあいする企業や経営者を能動的に選べるのは大きな醍醐味だと思います。そしてもうひとつ、我々は企業価値をまるごと扱えるんですね。コンサルタントが担うのは、やはり企業経営の一部のテーマ。我々のミッションは、投資先の企業価値を高めて株式市場でリターンを出すことであり、どうやって価値を上げていくのか、企業全体を見渡してあらゆるテーマに考えを巡らせていかなければならない。要は「自由」なんです。一緒に働く経営者を自由に選ぶことができ、企業価値向上にすべて関与できるため、取り組むテーマも自由に選べる。逆に、考え方の齟齬などがあってこの経営者とはもうおつきあいできないと思えば、投資を継続しない判断もできる。だから精神衛生上、ストレスがほとんどありませんね(笑)。
永田
中神さんが一緒に働きたい経営者とは、どんな方なのでしょうか。
中神
みさき投資として、投資先を判断する上で“HOP”という3つの基準を設けています。HはHungryであり、会社を成長させることに貪欲で真摯であるかどうか。OはOpenで、外部の意見を積極的に取り入れようとするマインドを持っているかどうか。そしてPはPublicであり、企業は社会の公器であるという認識を持ち、会社をより良く変えていく努力を惜しまないこと。世の中にこの“HOP”を備えた企業は意外に存在していて、経営者の方に会いに行くのが楽しくてしょうがないですね。
中尾
そう、みさき投資に来てとても驚いたのは、上場企業の経営者にたくさんお会いできることです。コンサルタント時代は事業部長や経営企画部長がカウンターパートであることが多く、重要な局面でトップが出てくるのが通常でした。でも、ここでは投資前から社長にコンタクトし、経営についてハイレベルな意見交換を行っていきます。ですからカバーしなければならない領域の幅も、コンサルタント時代とは全然違う。コンサルティングでは、事業戦略策定やコスト構造改革など「PLの売上・利益」に焦点を当てたプロジェクトが多かったのですが、ここではBSもCFも合わせた財務全体の流れを読み解くことが求められますし、その結果、企業が株式市場でどう評価されているのかも分析しなければなりません。経営者が対峙している「製品・サービス市場」「労働市場」「資本市場」について、自分なりの洞察を提供できないようでは、信頼を勝ち得ることができない。コンサルタント時代は経営のほんの一部しか見えていなかったと痛感しましたし、ここで経験を重ねることで、そうした素養が身についている実感があります。
山本
PEファンドと比較して、コンサルタント出身者が御社に参画する魅力をアピールできる点はございますか。
中神 
投資家としての成長スピードが段違いだと思いますね。PEファンドで手がけられるのは年間数件ほどで、しかも案件獲得はほぼコンペなので、時間をかけて投資の是非を検討するのは難しい。我々は上場企業3,600社の中でどこに投資するのか常に考えていますし、また経営者から「株主になってもらうにはどうしたらよいか」とプル型で相談が寄せられることも多く、投資すべきかどうかじっくり検討できる。投資家として経験できることの幅や深さが、PEファンドと比べて全然違うと思います。「投資家としての経験曲線のくだり方が違う」といえると思います。
中尾
投資候補の段階でも経営者の方に直に会いに行けるので、経営に関して学べることが本当に多いです。圧倒的に場数を踏めますし、さまざまな経営者の方と対話することで得られた学びや示唆は、業界を超えて広く投資先の経営に活かしていけるのも、PEファンドでは経験できないことだと思いますね。

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自分をフルストレッチさせることを、大いに楽しめる方に仲間になってほしい。

入江
コンサルタント出身の方がみさき投資に入社された後、具体的にどのような業務を担うことになるのですか。

中尾
大きく二つのフェーズに関わることになります。ひとつは、投資判断のための企業価値の調査フェーズ。もうひとつは、投資後のバリューアップのフェーズです。基本的には各自が複数の案件を担当し、投資先に応じて数名のチームを組んで業務を進めていきます。担当案件の状況を見て、調査に注力すべきか、あるいは投資先の価値向上に重きを置くべきか、自分の意思を基にリソース配分を決めていきます。私自身はいま、ポートフォリオに入っている数社のエンゲージメントにかなりの時間を充てています。
入江
投資先をバリューアップするために、御社ではどのような関わり方をされるのでしょうか。
中尾
いろいろなスタイルがあります。取締役会に出席して経営陣と定期的にディスカッションしながらテコ入れしている投資先もあれば、事業の現場レベルに入り込んでデータ分析から手を動かして支援している投資先もあります。経営は常に「固有解」ですので、経営陣の危機感、社内のリソースや能力、みさきとの信頼関係等の状況を踏まえて個別に判断します。あるとすれば、改革のセルモーターを回す段階であらゆる手を尽くし、会社の中でメインエンジンが稼働し始めれば、あとは伴走しながらモニタリングしていくというイメージでしょうか。その際、企業価値すべてを自ら手がけるのも無理な話です。専門性が求められるテーマであればコンサルティングファームとの協働を経営陣に提案し、外部のリソースも有効に活用しながらバリューアップを図ります。
永田
おうかがいしていると、御社で活躍するためには非常に高いスキルが求められるようにお見受けします。
中神
そうですね。いきなり上場企業の社長に会って、企業価値をまるごと向上させる話をしなければならないわけですから、常に自分の能力をフルストレッチさせる必要がある。ある意味、たいへん厳しい環境ですが、逆にそれを楽しめるような人が当社にフィットすると思いますね。
永田
いま、御社に向いているのは「自分をフルストレッチすることを楽しめる人」だというお話がありましたが、そのほか、これから採用する人材に求めていることはございますか。
中神
当社では資本市場についての深い理解と知見が求められますが、それに関して入社時には特に問いません。地頭の良い方であれば、資本市場のことは、ある程度キャッチアップできると思います。それよりも、何でもまず自分の頭で考える姿勢を重視したいですね。
中尾
先ほど、我々が投資先企業を判断する基準として“HOP”を挙げましたが、これから参画していただく方も“HOP”を備えていてほしいですね。ハングリーで、オープンで、パブリックであるか。我々が掲げる「働く株主®」のモデルはまだ完成されていないので、それを一緒に作り上げていくアントレプレナー精神あふれる方に期待したいです。
入江
では最後に、中神さんはこのみさき投資をどのように成長させていきたいのか、将来に向けてのビジョンを教えていただけますか。
中神
投資ファンドの運営は成功報酬と管理報酬で成り立っていますが、成功報酬は市況にも左右され不安定であるため、管理報酬を増やそうと規模を拡大する方向に、ファンド経営者のインセンティブは働きがちです。しかし、身の丈以上にサイズを大きくすると、リターンの見込みづらい投資機会も獲りにいく羽目になり、結果としてパフォーマンスが落ちてファンドは失敗してしまうのがよくあるパターンなんです。ですからみさきは規模を追うのではなく、遠くまで行きたいと考えています。遠くまで行くと、自然と規模も大きくなる。我々が投資先に選んでいるのは、長い眼で見れば必ずリターンが出る企業です。長期投資できれば、必ずファンドは成長する。問題は、長期投資が許される資金をどれだけ集められるかということですが、我々はそれを引っ張ってこられる自信がある。メンバーをさらに充実させて当面は10~15社ほどの投資先と密に関わり、きちんとリターンを出して社会からも評価され、みさきに投資したいという人を世界中から集めていきたいと考えています。企業経営に投資家の視点を持ち込むのは、けっして容易なことではないと判っていますが、だからこそチャレンジしがいがある。そこに大いに魅力を覚える方に、ぜひ参加していただきたいと思っています。


構成:山下 和彦
撮影:櫻井 健司

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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