コンサル出身者が事業会社で活躍するには、「事業が好き」であることが重要。どうすれば購入してくれるかを必死で考えて、行動する。その中でこそ解がみつかる。株式会社ユーザベース

Vol.40

コンサル出身者が事業会社で活躍するには、「事業が好き」であることが重要。どうすれば購入してくれるかを必死で考えて、行動する。その中でこそ解がみつかる。

株式会社ユーザベース

代表取締役社長(共同経営者)梅田 優祐氏

執行役員 アジア事業 COO(Chief Operating Officer)内藤 靖統氏

公開日:2017.12.15

インタビュアー 入江・永田

「経済情報で、世界をかえる」というミッションを掲げ、アジア最大級の企業・業界情報プラットフォームである“SPEEDA”、そして経済専門のニュースアプリである“NewsPicks”という二つの革新的なサービスを展開しているユーザベース。その創業者である梅田氏も、いまSPEEDAのアジア事業をリードする内藤氏も、かつてコンサルタントの経験を持つ人材だ。お二人にこれまでのキャリアと、そしてユーザベースで働く魅力などについて話をうかがった。

Message

戦略ファーム、そして投資銀行で抱いた強烈な問題意識が、起業のきっかけに。

入江
梅田さんはユーザベースの共同創業者のお一人ですが、起業されるまでの経歴を教えていただけますか。
梅田
新卒で戦略コンサルティングファームのコーポレイト・ディレクション(CDI)に入社し、そちらに2年10カ月勤務しました。その後、投資銀行のUBSに転職し、27歳の時にユーザベースを創業しました。
入江
もともと梅田さんは起業志向をお持ちだったのでしょうか。
梅田
いえ、学生時代は起業したいという思いなどありませんでした。しかし、たとえば総合商社などに就職すると、どの部署に配属されるかわからないし、勤務地も会社の都合。そうして自分の意思で決められないのは嫌だったんですね。大学の時に何かの本で読んだのですが、「プロフェッショナルな仕事の最大の対価は自由を得ることだ」と。すなわち、自分でやりたい仕事やお客様を選べるのがプロフェッショナルであり、学生なりに「戦略コンサルならそうした人材になれるのではないか」と考えてCDIに入社したのです。CDIでは大手企業の戦略立案やM&Aのデューデリなどに携わり、実にハードで楽しい毎日でしたが、3年ほど経ってもっとグローバルな環境で力を試したいとUBSに転職しました。
入江
そこからユーザベースを起業されたのは、どのようなお考えからですか。
梅田
UBSでは企業の資金調達案件に関わりましたが、結局、CDIにいた時と同じ苦労を味わうことになったんですね。CDI時代は毎日、業界分析や市場分析に明け暮れ、情報の海に溺れるような感覚で仕事をしていました。グローバルカンパニーのUBSならもっとスマートに働けるだろうと思っていたら、状況は何も変わらなかった。相変わらず情報の洪水と格闘することを強いられ、それで強烈に問題意識が湧いてきたんです。なぜビジネスの領域には、誰もが容易に利用できる情報インフラがないのか?と。考えてみると、ビジネス領域以外はGoogleが革新的な情報サービスを次々と実現しているのに、ビジネスの世界はイノベーションがまったく起きていない。既存の経済情報配信サービスなどは、ユーザー側がマニュアルを読み、トレーニングを受けて使いこなすような状況で、そんなサービスなどBtoCの世界ではあり得ないこと。ならば、誰もが簡単に使えて、誰もがスマートに働けるようなビジネス情報インフラを、自分たちの手で創り出そうと。ちなみに社名の「ユーザベース」は、いまお話しした通り、ユーザー起点で本当に欲しい経済情報サービスを創っていこうという、我々の思いが込められています。
入江
ユーザベースは梅田さんを含めて3人で創業されたとのことですが、残りのお二方とはどのようなご関係だったのでしょうか。
梅田
共同経営者である稲垣(裕介氏)は高校の同級生です。入学時のクラスでたまたま出席番号が彼の次だったので、席が隣になったのが知り合ったきっかけ。学生時代に自然と友達になるほど性格が合っているわけでもなかったので、強制的に話さざるを得ない状況でなければ、きっと友人にはならなかった(笑)。運命って、そういうものですよね。それから私は文系に進み、稲垣は理系に進み、彼もコンサルティング会社に就職してIT系の案件を手がけていました。性格は僕と全然違うけど、稲垣は人間として本当に信頼できる奴だった。だから経済情報のインフラを作りたいと思った時、エンジニアとして真っ先に稲垣の顔が浮かび、声をかけて一緒に会社を立ち上げたのです。もう一人の新野(良介氏)も不思議な縁で、彼は三井物産からUBSに私と同じタイミングで転職してきたんです。その入社後の研修でたまたま席が隣になり、そこで知り合いました。当時はまだリーマン・ショック前で投資銀行が絶好調の頃であり、とにかく大金を稼いでやろうとギラギラしている人間が多かったのですが、新野は最初から「事業をやりたい」と言っていて、そのための資金を集めるためにUBSに来たとのことで、自分と同じ匂いを感じました。その後、彼と業務で接することはなかったのですが、私が退職して起業することを聞いて連絡をくれて、彼も起業志向だったこともあって「一緒にやろう」という話になりました。

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誰もがオーナーシップを持って動く。このチームはあらためて凄いと実感。

入江
共同経営は難しい面もあると思うのですが、いかがでしたか。
梅田
最初はぎくしゃくしていましたね。稲垣と仕事をするのは初めてで、人間としては信頼できるのですが、朝、出社しない事という些細な事から腹がたったり、経営の話をしても、うまくコミュニケーションが出来なかったりして、話すたびにギクシャクするようになり ……そして段々お互い話さなくなり 、そうなるともう悪循環で、小さなオフィスの中で2週間も互いに口を利かなかったことも。このままでは世界と戦う前に社内が崩壊してしまうと思い、お互いに腹を割って何でも言い合おうと近くの居酒屋に出向いたんですね。そこで、私が溜め込んでいた鬱憤をぶちまけよう思っていたら、稲垣が資料を提示してきて、そこにはユーザベースをこんな会社にしたいという高い志が書き綴られていた。稲垣がここまで考えていたとは思いも寄らず、単にコミュニケーションをとっていなかっただけの自分を省みて、そこから姿勢を改めたんですね。良いことも悪いこともすべてストレートに言い合う“オープンコミュニケーション”を掲げて実践しようと努め、それで我々経営陣は強いチームになったと感じていますし、いまの当社のカルチャーの基盤になっています。
入江
内藤さんはどのようなご経歴ですか。
内藤
私は新卒でアクセンチュアに入社して10年ほど在籍しました。そちらでは製造業や流通業の経営戦略の立案などに携わりましたが、せっかく外資系のファームに入社したものの、海外でキャリアを積む機会がないことに物足りなさを覚えるようになり、それで転職を考えるようになりました。個人的にアジアで働きたいという思いがあって、それがかなう機会を探していると、ちょうど日系企業2社と米国企業のジョイントベンチャーに出会ってそちらに入社。自らアジアに赴き、経営企画のポジションでM&AのPMIを2年ほど手がけた後、2016年の9月にユーザベースに参画しました。
入江
どのような経緯で内藤さんはユーザベースに入社されたのですか。
内藤
ユーザベースのアジア事業のヘッドの岩澤(脩氏)が、前職の時にSPEEDAの営業に来たんですね。SPEEDAのサービス自体も優れていて即導入を決めましたし、それがきっかけで岩澤と親しくなり、私自身も起業志向だったので彼と事業のアイデアなどを話しているうちに「ならばユーザベースでやりませんか」とお誘いを受けたのです。岩澤との対話から、ここならマネジメントに不満を持つことなく自分の裁量で仕事ができそうだと感じて、それで入社を決意しました。
入江
ユーザベース入社後、どんな業務をご担当されているのですか。
内藤
SPEEDAのアジア事業のコンサルティングサービスとマーケティングのチームをリードしています。SPEEDAは経済情報のプラットフォームですが、それだけだと我々のミッションである企業の意思決定を支えるところまで届かないケースもあり、お客様の個別ニーズに応じて深掘りしてリポートするコンサルティングサービスにも力を入れています。また、SPEEDAは日本ではブルーオーシャンですが、アジアでは経済情報を扱うグローバルプレイヤーがひしめいており、その中で我々の認知を上げていくマーケティングも重要なテーマ。シンガポールを拠点に15名ほどのメンバーを抱え、グレーターチャイナとアセアン地域を行き交う毎日です。
入江
内藤さんは、ユーザベースのどこに魅力を感じていらっしゃいますか。
内藤
まず優秀なメンバーたちとチームを組めるのがいいですね。前職で経営企画を担っていた時は、一人でプロジェクトを回していたのですが、それだとやはり楽しくない。若くてもみなオーナーシップを持って仕事に取り組んでいますし、経験値が不足していてもそれを努力でカバーしようとするメンバーばかり。そうした人材が揃っているのがユーザベースの魅力だと思いますし、マネジメントしがいもあります。
梅田
私はいまNewsPicksで米国市場の開拓に時間を費やしており、起業してから初めてチームを離れているのですが、外から眺めるとユーザベースのメンバーはあらためて凄いなと感じています。みな自分で考え、自分で行動し、新しい挑戦や創造を勝手にやっているんですよね。そうした姿に私自身が勇気をもらうんです。全員が自発的にやりたいことにチャレンジしているので、社内にフラストレーションが溜まるようなこともない。こうしたカルチャーは当社の優位性なので、これからも大切にしていきたいですね。

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事業の現場が好きであること。それがユーザベースで活躍できる最大の条件。

入江
お二方ともコンサルタント出身でいらっしゃいますが、ユーザベースで活躍できるタイプと、そうではないタイプはどのようにお考えですか。
梅田
「事業が好きかどうか」ということですね。事業の泥臭いところも含めて楽しめるような方。たとえば、営業というのは商売の基本であり、すべての要素が詰め込まれています。お客様を訪問し、必要とされていることを把握して提供し、その対価をいただく。自ら現場に赴いて、どんな価値ならお客様がお金を払ってくれるのか、肌触り感のあるニーズを掴み、プロダクトやサービスを自分で考えて創っていく。このサイクルを回すのが好きであれば当社は面白いと思います。概してコンサルタントの方は、もっと高いレイヤーで大きな戦略を描き、抽象的な概念で物事を整理することに留まってしまう事が多いのですが、そうした人材は当社には向いていない。事業家として大切なのはその後の具象化であり、現場の最前線でのエクゼキューション能力です。
内藤
コンサルタントの方のなかでも、エグゼキューションにまで関わっている人は当社に向いているかもしれませんね。私はコンサルタント時代、小売業のお客様を多数抱えていたのですが、そこでは実際に店舗に入り込んで店長と一緒に週次の売上や在庫の計画を立て、現場のスタッフの方々と直に接して業務を改善していく経験を重ねました。まさに自分が「商売」をしている感覚で、こうした仕事にやりがいを感じるコンサルタントの方がいらっしゃれば、きっと当社でも活躍できると思います。
梅田
やはりコンサルタントが考える抽象化された机上の経営と、リアルなビジネスの間には大きな差があるんです。たとえばNewsPicksの有料課金サービスは1500円(iOSのみ1400円)なのですが、おそらくコンサルタントに分析を頼むと、競合の事例などを調べて『1500円という価格帯でデジタルコンテンツを出している企業はほとんど存在せず、マーケットにヒアリングしてもここまでの対価は払わないという声が多いので、事業化は難しい』というレポートが出てきて終わりになってしまうと思います。しかしリアルのビジネスはそうではなく、1500円でどうすればコンテンツを購入してもらえるのかを必死で考え、まずは行動してみる。そして必死で試行錯誤する中で解が見つかっていく。一人でも二人でも買ってくれると物凄い喜びがあって、それが自分の人生の喜びにもなる。そんな経験が得たい人はきっと事業家に向いていますし、ユーザベースならいくらでも味わえると思います。
入江
ユーザベースがいま描かれているビジョンを教えてください。
梅田
創業時に決めたことは3つあります。まずは、まだ誰もイノベーションを起こしていない経済情報のドメインで勝負すること。そして、ゲームのように流行っては記憶から消えていくものではなく、これがなければ仕事ができず経済が回らないという、そんな後世に残るインフラを創り上げること。三つ目が、このインフラを日本だけではなく、世界中の人に使われるものにしたいということ。この3つを凝縮したのが「経済情報で、世界をかえる」というミッションです。このミッションの実現に向けて、今後も新しいプロダクトやサービスを、グローバルなレベルで創り続けていきたい。そうした動きが社内の個人レベルでどんどん湧いてくるのが、我々が目指す理想の企業像。私自身もユーザベースがどんなに大企業になろうと、常に最前線に立ってビジネスを創造していきたいと思っていますし、逆に自分で価値が出せなくなったら、それが引退するタイミングですね(笑)。
永田
ある記事でお見受けしたのですが、梅田さんは地下鉄の大手町駅を歩いていた時、SPEEDAの事業のアイデアが降りてきて起業しようと決心されたとのこと。起業したいという気持ちをひそかに持っている人は結構いらっしゃると思うのですが、自分が何をやりたいのかなかなか見えてこないという声もよく聞きます。どうすれば「なりたい姿」が明確になるのか、梅田さんのアドバイスをいただけますか。
梅田
まず自分の本能に忠実になることですね。大人になると世間体など気になりますが、自分のピュアな気持ち、欲望に正直であることが大切。そうすると、やりたいことが浮かんでくると思うんですね。ただ、偏差値の高い頭脳明晰な人ほど、心と右脳で感じた本能を、瞬時にそのリスクを左脳で計算し、打ち消してしまう傾向があるように思います。心ではやりたいと思っていても頭でストップをかけてしまいがちですが、頭で考えたリスクなんて実際は意外に大した事がないと思った方が良い。万が一、頭で考えた通りのリスクが発生し、失敗したとしてもその経験は何にも代え難いものになるはずです。少なくとも頭の中だけでシミュレーションして何も行動しないよりは、例え失敗したとしても行動した自分に誇りを持てるはずです。ですから、何かやりたいことにチャレンジする際、頭で考えられるリスクを5割減するぐらいでちょうどいいかもしれない(笑)。ぜひご自身の本能に正直に行動していただきたいですね。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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