コンサルタント転職のこぼれ話
自分の年収を自分で決められるとしたら、いくらにしますか?

キャリアコンサルタント 入江 祥之

自分の年収を自分で決められるとしたら、いくらにしますか?

「自分の市場価値を知りたい」、キャリアコンサルタントの仕事をしていると、この質問を受けることがよくあります。
 
極めて一般的な質問にも聞こえるのですが、「妥当な年収額を知りたい」という意味で聞かれている場合、実はキャリア形成に関する本質的な話も絡むため、わたしは回答に頭を悩ませることがあります。
 
悩ましい理由の1つは、業界、会社、ポジションによって適正年収は変わるからです。プロフェッショナルファームと事業会社でも大きく異なりますし、エクセレントカンパニーと言われるような大企業とベンチャーでも大きく異なります。
 
一般的には利益率の高い会社は年収水準が高いですが、利益率の低い会社でも一部の社員のみに高い報酬を支払っている会社もありますので、一概には答えにくいのです。
 
そして、もう1つの理由は「視点」です。
こちらは、あるベンチャー企業へ経営幹部職での転職を決めたAさんの事例を交えながらお話させていただきます。
 
Aさんはオファー面談の際に社長から、年収欄を空白にしたオファーレターを渡されたそうです。そして、その社長から「PL/BSや資本政策など、必要なデータは全て開示しますので、貴方が経営者になったと思って、貴方が適切だと思う年収を決めてください」と言われたそうです。
 
Aさんはもともとかなりの高年収の方でしたが、社長からのこのお題への回答は、相当悩まれたようです。
 
先方の想定を超える年収を希望したら経営幹部としての資質を疑われてしまいますし、かといってあまり低い年収にもしたくない。Aさんは考え抜いた結果、ご自身が実際に入社した場合の貢献度合いやバリューをベースに希望年収の根拠とロジックを十分に用意されたそうです。
 
そして、結果的には社長の想定範囲内の妥当なラインで年収が決まり、双方納得のいく形での入社となりました。
 
前述のケースのように、適正年収について考える場合には、企業側・経営者側の視点と候補者自身からの視点と、2つの見方があるのです
 
わたしが普段の面談時に希望年収を確認させていただくと、大抵の方はご自身の視点での希望年収で答えられます。「現在いくらもらっている。他業界にいくので多少ダウンは考慮しても、今の生活水準を考えるとこのくらいのレベルは確保したい。知人の〇〇さんはその業界の〇〇ポジションでこのくらいなので、自分もこのくらいまではいけるのではないか」といった具合です。
 
もちろんそれも1つの考え方ではあります。ただ、ご自身が経営者や役員レベルになれば、自分の年収は自分で決めていく立場になります。
 
経営幹部候補の方々は、一度、企業側(経営者側)の視点に立って、「ご自身の適正年収とその根拠となる自分の価値、判断軸」について考えてみてはいかがでしょうか。
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