コンサルタント転職のこぼれ話
ウォー・フォー・タレント

Author:入江 祥之

ウォー・フォー・タレント

1997年の、マッキンゼーによる人材マネジメント調査結果をベースに纏めた名著「ウォー・フォー・タレント― 人材育成競争(Harvard Business School Press)」を読みました。約20年前に書かれたとは思えないほど、示唆に富む内容でした。以前、某外資系戦略ファームのパートナーの方が「採用は仁義なき闘いです」と仰っていたことがありましたが、まさにいま人材をめぐる「WAR」、熱い戦いが繰り広げられているのを日々感じております。
 
同書では「人材採用に対する経営者の本気度合い」を問われていて、GEのジャック・ウェルチ氏が仕事の50%を人材の課題解決に充てていたこと、GEのトップ500の幹部ポジションのうち20%は外部から採用していたこと、ある企業ではトップ100の幹部ポジションのうち半分を入れ替えて、見事に会社を立て直した事例などが紹介されていました。
 
我々が日々お手伝いさせて頂く企業様とのやりとりのなかでも、経営者によってその本気度はまちまちだと感じます。
 
日本を代表する成長企業では、ソフトバンク、ファーストリテイリング、日本電産など、強烈なリーダーシップを持つ経営者が率いている会社が多く、また、我々が幹部候補の求人依頼をいただく会社も創業社長やオーナー社長など、やはり強いリーダーシップを持つ会社がほとんどです。
 
著書の中には、幹部候補の採用は30%は失敗するが、逆に70%成功するのであれば、積極的に取り組むべきであるとも語られています。
 
大抵の経営者は人・組織について悩んでおられますが、悩むだけでなく、周囲の反対を押し切り、リスクを取ってでも実行に移せるかどうかで差が出てくると感じております。グローバルではGAFAを中心とする成長企業がまさに熾烈な採用競争を続けています。日本企業でも、一昔前まではあまり積極的に幹部候補の採用を行っていなかった商社、自動車、メーカーでも動きが出てきました。
 
ちなみに、弊社の代表はリクルート出身で、リクルート時の実体験として、江副氏が「採用が最優先事項」だと言われ続け、実際に優秀な人材を採用し続けることで会社が急成長してきたことを身を持って体験しているので、弊社ではクライアント企業に対して、「企業力を超える採用力を提供する」ということを創業以来ずっと掲げ続けています。
 
また、新卒採用においては、最近、就職協定の廃止が大きなニュースとなりました。日本企業の採用においては大きな前進のきっかけになるかと思います。ただ、グローバル採用における日本企業の採用力はまだまだ強いとは言えず、本気でグローバルで優秀な人材を獲得するには報酬面の改善にも真剣に取り組まなければならないかもしれません。幹部候補の採用においては、外資の方が未だに報酬面での競争力が強く、日系企業はまだまだ苦戦を強いられることが多いです。ただ、日系企業でも本気で世界と戦っている企業は報酬面でも外資と比較して遜色のないオファーを出すところが増えてきています。
 
今後の「ウォーフォータレント」の戦況はどうなっていくのか、自分はその戦場にどのような付加価値を提供できるのか、今後がますます楽しみです。
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