コンサルタント転職のこぼれ話
コンサルタント出身者が事業会社でぶつかる壁

キャリアコンサルタント 永田 憲章

コンサルタント出身者が事業会社でぶつかる壁

先日、リクルートライフスタイル社でご活躍中のお二人の方に、インタビューをさせていただきました。
 
お二人ともコンサルティングファームから同社へ転職されていらっしゃり、これまでのキャリアや同社での仕事の面白味・苦労などをお聞きしていたところ、「コンサルタント出身者がぶつかる壁」という話になりました。
 
コンサルタント出身者は「戦略に意思を注入すること」と「組織マネジメント」で戸惑ったり苦労することがあるというのです。
 
1つ目の壁「戦略に意思を注入すること」とは、コンサルタントは外部の立場からお客様と一緒にスコープを設定し、それに応えるアウトプットを作り上げていく仕事の進め方が染みついているため、いざ「事業を成長させるための戦略は自由に考えていい。あなたは何がやりたいのか」と問われると、戦略になかなか意志を注入しきれない、という話でした。
 
2つ目の壁「組織マネジメント」とは、いくら優れた戦略を立てても、そこに関わる人が動かなければ意味はない、という考え方のもと、現場に自分の意志を伝えて、現場がモチベーションをもって動ける状態を作ることが非常に大切であり、そうした組織の巻き込み方は実際に経験しないと身につけられない、という話でした。
 
これは、リクルートライフスタイル社だけに限定される話ではなく、コンサルティングファームから事業会社への転職を検討される方に是非知っておいて欲しい事項です。
 
 
また、コンサルタントの方が事業会社の面接に臨む際には、上記ができる素養をお持ちかどうかを確認されることがあります。
 
例えば、これまでの仕事で成果を残したエピソードについて質問があり、以下のような深掘り質問が続きます。
 
●その成果は、プロジェクトとしての結果ではなく、ご自身が主体となって行ったものか?
 
●何故、そのような意思決定を行ったのか?
 
●お客様を巻き込んで何かを変革したことはあるか?
 
●外部を巻き込みながら仕事を進める際のポイントは何か?
 
その回答に迫力があるか、臨場感に溢れているか、などにより、指示を受けて行った仕事なのか、自ら考え行動した仕事なのかどうかが、クリアに分かるといいます。
 
あるグローバル企業のCFOの方は、面接で主にリーダーシップ(自分の頭で課題を発見し、解決策を見つけ、周りを巻き込んで動けそうかどうか)を見ているということでした。
 
 
これらへの回答は、いざ面接に臨むという段になってから準備できるものではありません。日々の仕事の中で意識しておくことが重要です。
 
実際、コンサルタント時代に、自身の守備範囲を越えて仕事を拾っていたり、今考えるべき課題は何かを常に自問自答されている方が、コンサルティングファームから事業会社へ転職して活躍されている印象です。
 
コンサルタントの方は、よろしければ、そのような仕事をしているかどうかを振り返ってみていただけますと幸いです。

(2018年10月20日)
 
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