コンサルタント転職のこぼれ話
求められる経営幹部の資質とは

Author:入江 祥之

求められる経営幹部の資質とは

「経営幹部として求められる資質」といえば皆さんはなにを思い浮かべますか?
マネジメント能力、実務経験や知識、人望、いろいろな言葉が浮かびますね。

最近はポストコンサルタントのキャリアとして、事業会社の経営幹部を目指す方も増えてきています。わたしはキャリアコンサルタントとして、経営幹部ポジションを目指している方、そして経営幹部を採用したいと考えている企業様、双方のお手伝いをさせて頂いています。その中で、企業様側からよく頂くのが、まず「既に他社で経営幹部としての実績のある方」、その次が「経営幹部を任せられる素地のある方」というオーダーです。
「経営幹部を任せられる素地」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
 
ある企業様から、新規事業の立ち上げのヘッドを担う経営幹部を採用したいという依頼があった時のことです。弊社からご紹介した候補者の中から、最終的に最後の2名が絞られました。お一人は今回の新規事業関連の専門知識や実務経験の深いAさん、もう一人は人や組織のマネジメントに長けているBさんでした。
皆さんが経営者だったら、どちらの方を採用しようと考えますか?
 
結果として、その企業が最終的に選んだのはBさんでした。
最終的な決め手を聞いてみたところ、「専門性の知見は劣る可能性はあるものの、複数回の会食等も通じて、マチュアで包容力のあるBさんの人柄に惚れた。Bさんなら必ずや素晴らしいチームを作りあげ、組織として今回の新規事業を成功に導いて頂けるであろうという確信に近いものを感じた」とのことでした。
ちなみにAさんについては「新規事業に関する経験値は抜群のフィット感として評価しているものの、組織運営という視点ではハレーションリスクも感じ、チームを作りあげていくイメージが持てなかった」とのことでした。
 
企業様からのフィードバックを聞きながら、わたしの脳裏に浮かんでいたのは、BさんのEメールでした。わたしは立場上、企業様の秘書等とBさんの間で交わされたEメールのやり取りにもCCで入っていたのですが、Bさんは相手の職位等に関係なく、誰に対しても分け隔てなく、相手の状況に配慮した丁寧で気遣いのある文面を、非常に迅速なスピードで返信をされていました。それはもう、感動するほどのレベルで、わたしは「Bさんと一緒に働きたいと思う人は多いだろうな」という印象を持っていたのです
 
もちろんケースバイケースで、求められる資質というのは常にひとつではないでしょう。しかしながら「この人と一緒に働きたい、この人のために働きたい」と人をモチベートできる力というのは、経営幹部になればなるほど重要な資質なのではないでしょうか。今回のケースに限らず、わたしの経験上でも、エグゼクティブな方であればあるほど、メールのやりとりひとつにも、その資質が滲み出ていることが多いように感じます
 
事業の成功は、決して一人の力だけでは成し得ません。コンサルの世界では課題分析・戦略立案といったところがメインとなりますが、事業会社になれば、戦略を実行していくことが必須になります。高いハードルをクリアし、組織として成果を挙げていくためには、人の感情の機微を感じとり、メンバーのモチベーションを維持し、導かなければいけません。ある著名な経営者は、自社社員に対し、デール・カーネギー氏の『人を動かす』を読むことを強く推奨されていると聞きましたが、まさに「人を動かす力」こそが「経営幹部を任せられる素地」のひとつなのではないかと思っています。
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