コンサルタント転職のこぼれ話
コンサルタントのモラトリアム

キャリアコンサルタント 入江 祥之

コンサルタントのモラトリアム

最近、コンサルタントの方との面談で「コンサルタントあるある」の話を伺いました。
どういう「あるある」かというと、特にやりたいことが決まってないからコンサルタントになり、未だにやりたいことが見つからないからコンサルタントを続けている人が多い、という「あるある」話です。
 
もちろん人にもよるかと思いますが、私も数多くのポストコンサルキャリアのご相談に乗ってきたなかで思い当たる節があり、妙に納得してしまいました。
 
コンサルタントとのキャリア相談において、最初から明確にやりたいことが決まっている人は、私の感覚的には1割から2割程度という印象です。例えば「事業会社で何か企画系の仕事が良いですかね、PEやその投資先もおもしろそう、でも同業のプロフェッショナルファームも全く無しではないなぁ」といった話になることが多いように感じます。
 
わたしなりに分析してみたところ、このような傾向になる理由はいくつかあるかと思っています。
 
まず、コンサルタント(特に戦略系)の仕事は、様々な経営課題に対応することになり、プロジェクト内容が多岐に渡るため、何でもやらないといけない。逆に言えば、ある程度は何でもやれるようになっているため、高い専門性を求められるポジションでなければ、大概の仕事はある程度こなせる自信がある状態になっている。
 
また、様々な案件の面白みを知ってしまうため、何か一つの事業やプロダクトに絞り込むのが難しい(元来、常に新しい楽しさを求めるタイプの方も多い)。
 
さらに、事業会社に移る場合には年収ダウンになることも多い。それなら、今のコンサルタントの仕事や収入に不満もないので、このまま何かやりたいことが見つかるまではコンサル続けようかな、という流れが多いように見受けられます。「コンサルタントのモラトリアム」とわたしが名付けている状態です。
 
このような状態が長らく続いてしまうと、いざ転職を検討しようかと思うタイミングでは、既に「年齢と年収」が高くなりすぎてしまい、選択肢が狭まっていることが多いのが実情です。
 
では、このようなモラトリアムから卒業するにはどうすれば良いのか。
 
まずは早いうちから、自分は将来何をやりたいのか、どうなりたいのかを考えておくこと。
 
ただ、なかなか自分と向き合うだけでは見つからないので、常にアンテナを張り、色々な人と会う、本を読む、具体的な求人を見るなど様々な情報に触れる。
 
自身のネットワークだけでは人脈は限られているので、我々のような人材紹介会社を介して、興味のある会社の人と会ってみたり、自分と似たようなキャリアモデルの事例を聞いてみる。そういった手段も有効ではと思います。
 
そして、コンサルタントの方は基本忙しく、時間を作るのが大変だと思いますが、人生においてキャリアはとても重要な位置付けになるかと思いますので、優先順位を上げて、自分のキャリアと向き合う時間を定期的に作るのが大事だと思います。
 
※最後に補足ですが、今回の上記コラムは、あくまでいつかコンサルタントを卒業することを検討している方向けのコラムであり、当然ながらコンサルタントの道を極めたいと考えている方には当てはまりませんので、その点はどうかご容赦いただけると幸いです。

(2017年9月20日)
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