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CXOのキャリアコラム

起業するなら若い方がいい?経営者が起業した年齢から考える

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2023年5月19日

キャリア相談を受けていると、一定の割合で将来的に起業を考えている方がいらっしゃいます。起業を考えている人の場合、タイミングをいつにするかはひとつの関心事になってくるでしょう。そこで今回は「起業のタイミング」というテーマで書かせていただきます。

20~30代半ばで起業している経営者は多い

結論から申し上げると、「起業するタイミングは早いほうが良いのではないか」と考えます。
その理由のひとつとして、メガベンチャーの経営者が起業した年齢を確認すると、20~30代半ばくらいで起業している人が多いからです。(※手元調べの為、年齢は多少前後している可能性があります)

・BASE 鶴岡氏(23歳)
・ユーグレナ 出雲氏(25歳)
・ラクスル 松本氏(25歳)
・プログリット 岡田氏(25歳)
・オイシックス 高島氏(26歳)
・ユーザベース 梅田氏(26歳)
・ベースフード 橋本氏(28歳)
・LegalOn Technologies 角田氏(29歳)
・freee 佐々木氏(32歳)
・マネーフォワード 辻氏(36歳)

また、著名な経営者である以下の方々も、コンサルティングファームでパートナーのポジションで働いた後の起業とは言え、30代ですので比較的若いと言えるでしょう。

・DeNA 南場氏(36歳)
・エムスリー 谷村氏(37歳)

海外の経営者の場合はさらに起業時の年齢が若く、GAFA創業者の起業時の平均年齢は24歳です。

若く起業することのメリットとは

起業を考えている方とのキャリア相談では、「将来の起業に向けて経験を積みたい」とお聞きすることが多いです。しかし、先ほどの経営者たちの起業時の年齢から考えると、経験・スキルが十分でなくても起業は可能であるとも言えます。
では、若くして起業するとどのようなメリットがあるでしょうか。

●パッションやエネルギーがある
 事業を成功させるには、最も重要だと思われる要素
●体力がありハードに働ける
●時間がある
 ・起業にはリスクがつきものであり、たとえ失敗してもピボットする時間がある
 ・失敗そのものが大きな経験や糧となる
 ・未婚や子どものいないうちは、仕事に集中しやすい
●創業時の初期メンバーとして、若くて馬力のあるメンバーを集めやすい
 スピーディな事業立ち上げにつながる
●失うものが少なく、怖いものなしで突破力がある
 ・年齢や報酬が高くなると、その前提で考えてしまう
 ・社会的な責任が少ないと自由度が高く、アグレッシブな挑戦ができる
●アイディアの鮮度や、最新テクノロジーのキャッチアップ力が高い
 ・トレンドにマッチした事業を立ち上げられる
 ・最新テクノロジーの活用は不可欠
●若い起業家を応援してくれる影響力の強い人達を味方にしやすい
 VCやエンジェル投資家などからの資金調達やアドバイスを受けやすい

また、先日マッキンゼーのパートナーを務めた方と起業の時期についてお話ししたとき、「早い時期にコンサルを辞めて起業した方が良い」というご意見でした。なぜなら、コンサルタントは、クライアント(特に大企業)の意思決定をサポートする仕事で、一方、経営者は常に意思決定をし続ける仕事だからです。
若いうちに起業することで、自らが意思決定する場数を増やしたほうがいいとのことでした。

さらに、特にスタートアップ時は資金と人に関するハードシングスが付きものなので、早いうちに修羅場を多く経験しておいた方が良いと話されていました。
実際に、マッキンゼーのOBの例を見ても、早めに起業して成功している人が多いそうです。

強烈なパッションや志が、成功の可否をわける

一方で、ライフネット生命の出口氏のように60歳で起業した事例もあり、必ずしも若いうちの起業でなくては成功しないということではありません。
本質的には年齢は関係なく、最も重要なポイントは強烈なパッションや志だと考えます。ただ、年齢を重ねるほど強烈なパッションをもつことは難しくなり、体もついてこなくなるでしょう。そのため、若いうちに起業している人の方が成功確率は高いように感じます。日本を代表する経営者として他にも例を挙げてみると、ソフトバンクの孫氏、ファーストリテイリングの柳井氏(家業を早く継ぐ)、日本電産の永守氏なども、若くして経営者となっています。

また、これまでお話ししてきた起業はあくまで事業会社を想定しています。プロフェッショナルファームやファンドの立ち上げの場合は、クライアント獲得、人材採用、資金調達の観点から、相応のキャリアやトラックレコードが必要でしょう。最近では国がスタートアップ支援を強力に後押しするようになり、起業経験がある人材を積極的に採用したいという会社も増えているため、起業のリスクは以前に比べれば格段に低くなっています。
個人的には年齢に関わらず起業される方々を心よりリスペクトしており、日本の発展の観点からも起業家をこれからも全力で応援させていただきたいと思っています。

また、以前、『コンサルタントの卒業のタイミング』というテーマでもコラムを書いておりますので、よろしければそちらも併せてご覧ください。

(2023年5月19日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。