コンサルタント転職のこぼれ話
経営者になりたい方が養うべきは、スキルよりマインド

キャリアコンサルタント 入江 祥之

経営者になりたい方が養うべきは、スキルよりマインド

私は仕事柄、起業家や経営者の方々と仕事をする機会が多く、心の底からリスペクトしております。日本経済の発展には優秀な経営者を一人でも多く輩出することが重要です。今後もこの領域でコツコツと実績を積み重ねて参ります。

前置きはさておき、私が起業家や経営者をリスペクトする理由は、経営は本当に大変な仕事だからです。
売上・利益をあげるのはもちろん、社員のマネジメント(予期せぬ幹部の退職、やむを得ぬリストラや解雇、社員同士の軋轢やご家族も含めたフォローなど)、資金繰り、株主への説明、など挙げればきりがありません。そして、トラブルが発生すれば矢面に立ち、様々な矛盾や理不尽に向き合う必要があります。

『心を鍛える』を読んで感じた、経営者に必要な素養とは
私が面談でお会いする方々は能力や意識の高い方が多く、将来的に経営者になりたいと考えている方も少なくありません。「経営者を目指すなら、今から何をしておくべきでしょうか?」という質問をいただくことも多いです。

経営者に至る道は様々であり、なかなか回答が難しいのですが、起業は自分の決意次第でいつでもできます。そして、最近では経営者になるには、経験やスキルより、マインド(考え方や人間性)の方がよっぽど大事なのではないかとも思っています。

私がそう考える理由を説明するために、知人の薦めで読んだ『心を鍛える』という本を紹介します。この本は、サイバーエージェントの藤田氏と元ライブドアの堀江氏の共著です。お二人はタイプの異なる経営者ですが互いを認め合っています。
 
同書では、お二人がこれまでの経営や人生で経験した困難や、どのように心を鍛えられてきたかが語られています。

堀江氏は学生時代から天才プログラマーとして高い専門性を有し、大学を中退してすぐに起業。藤田氏は現パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を一年で辞めて起業されています。お二人とも若くして起業しているため、一般的に経営者として必要とされるスキルや経験は十分に持ち合わせていなかったのではないかと思われます。
 
ちなみに、GAFAの創業者たちも起業した年齢が若く、平均24歳です。Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏は19歳。Googleのラリー・ペイジ氏は25歳。Appleのスティーブ・ジョブズ氏が21歳。Amazonのジェフ・ベゾス氏は31歳。
上記の事例からも、経営者として成功するための共通した必須スキルを見つけるのは難しそうです。
 
さらに例を挙げると、日本を代表する経営者であるソフトバンクの孫氏、京セラの稲盛氏、日本電産の永守氏、楽天の三木谷氏なども若くして起業されています。共通するのはスキルというよりは相当強いハートの持ち主であるように思われます。

仮に、経営者に必要な素養がハートの強さだとすると、心を鍛えるためには何をすべきなのでしょうか。『心を鍛える』の結びでは、人の心が強くなる(心が鍛えられる)のは「誰かのため」という利他的な目的があるときだろう、と両氏が語っています。

少し意外ではあったものの、確かに人が最も頑張れるのは、「誰かのために」というシーンであることに深く納得しました。
 
心の強さと情熱(パッション)が経営者には必要
私は、困難に立ち向かう際に大事な要素は、強烈な情熱(パッション)ではないかと考えます。稲盛氏が提唱されている人生の方程式をご存知でしょうか?【人生・仕事の成果=考え方×熱意×能力】という方程式です。この方程式は順序も重要で、能力より考え方と熱意の方が大事だと稲盛氏は述べています。

一方で、最初から崇高なビジョンがなくてもよいと思っています。特に、若い方なら、「稼ぎたい」、「経営者として自分が意思決定できる立場に立ってみたい」などの理由でもいいと思います。実際に成功している経営者もそのような欲求からスタートしている人は少なくありません。
 
ただ、事業は一人ではできませんし、中長期的に会社を成長させ、社会にインパクトを出し続けるためには仲間が必要です。従って、どこかのタイミングで人を惹きつけるような志やビジョンを掲げる。そして、ハートが強い経営者が大事を成し遂げるのではないでしょうか。

もし、起業や経営者を目指すなら、スキルだけでなく、心を鍛えて、志や熱意(パッション)など、マインド面の向上を意識されるのがよいと思います。

(2022年7月20日)
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