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CXOのキャリアコラム

キャリアにおける「ノブレス・オブリージュ」

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2022年1月20日

経営者がよく口にする「ノブレス・オブリージュ」という言葉

「ノブレス・オブリージュ」という言葉を聞かれたことのある方もいらっしゃるでしょう。
ノブレス・オブリージュとは、19世紀にフランスで生まれた「noblesse(貴族)」と「obliger(義務を負わせる)」を合成した言葉です。

「身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」という意味で、欧米社会における基本的な道徳感として、西洋貴族等に自発的な無私の行動を促す言葉です。

財産、権力、社会的地位は自身の能力ではなく、社会から与えられたものなので、自己を犠牲にしても果たすべき社会的義務があるという考えです。

経営者の方々から「ノブレス・オブリージュ」をお聞きすることが多く、以下のようなお話を聞いたことがあります。

「地位の高い人は、それに相応しい徳の高さや自己犠牲の精神を持つ必要がある。徳の高い人がトップに立ち、そのうえで頭の切れる参謀が傍で支えるというスタイルが理想と考えています。かつての日本の優秀な組織は、徳の高いリーダーがいて、優秀な参謀がいることが多いです。」

この話を聞いて私が真っ先に思い浮かべたのは、弊社がお付き合いのある企業の経営者の方です。その企業は給料があまり高くありませんが、優秀な人材がたくさん集まります。
私はその理由を、社員の心を掴む経営者にあると考えています。

その方は非常にビジョナリーで志が高く、誰よりも働き、リーダーシップが際立って強い方です。そして、自身の給料は高く設定していません。

会社でキーマンとなる方を採用する際は、非常に多忙でもスケジュールをやりくりして、会食フォローやラブコールのメールを自ら送られることもあります。

そして、悩んだ末に入社を決めた方に対して「必ず幸せにします」と話します。経営者として相当な覚悟がないと、「幸せにします」という言葉は出てこないでしょう。

その方は社員のみならず、我々のような社外のステークホルダーの心をも掴むので、会社が強くなる好循環を生みだしています。

一方、逆のケースもあります。
最近相談に来られたある会社のCFOは、「オーナー経営者が、私腹を肥やす仕事ばかりしているので、もう辞めようと思います」と話されていました。その会社ではCXOクラスの人材が立て続けに辞めているそうです。当然ながら、優秀な人材が辞めていく会社は弱体化していきます。

社会的地位や能力のある人こそ、キャリアの「ノブレス・オブリージュ」を意識してほしい

このコラムは若手の方からシニアクラスまで幅広く配信させて頂いております。

ご年齢が若く、職位があまり高くない時期は、ご自身の能力開発や報酬を高めることに集中するのは自然ですし、まったく問題ありません。

しかし、自身の地位が高まるにつれて、下から言動をよく見られるようになります。そのときに、「ノブレス・オブリージュ」の考え方をもっていることはとても重要になるでしょう。

将来CXOを目指している方などは、社会にインパクトを与えるために人を巻き込み、組織を強くする必要があります。

徳を高める、人間力を高めることは一朝一夕ではできません。徳のある経営者の話を聞く、著書を読むなどして、コツコツと徳を高めることを意識されるとよいと思います。

また、ノブレス・オブリージュは「社会的な地位」だけでなく、「能力の高さ」にも言えるのではないかと私は思います。つまり、「能力の高い者には、果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」ということです。

私は仕事柄、素晴らしい能力をお持ちの方とお会いする機会が多いです。能力の高い方にはその能力を持て余すことなく、ぜひ社会に還元していただけければと考えています。

(2022年1月20日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。