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CXOのキャリアコラム

75歳まで幸せに働くためのキャリア戦略

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2021年3月22日

人生100年時代を迎え、シニア世代のセカンドキャリアに注目が集まってくるようになりました。日々のキャリア相談の中では、「自分は一体何歳まで働くのか」というおぼろげな不安を持たれる方が多くなってきました。元々、年金制度は平均寿命が70歳の時に55歳を定年として設定されたようです。今は平均寿命が90歳ぐらいになってきている為、平均寿命マイナス15歳とすると、ゆくゆく定年は75歳まで引き上げられる可能性も十分にあるかと思います。現時点で75歳まで働くイメージを持てている方はほとんどいません。それも当然だと思います。75歳まで元気に充実したキャリアを送られている方のロールモデルがほとんどいないからです。

ただ、備えあれば患いなしで、今のうちから、たとえ定年が75歳になったとしても幸せなキャリア人生を送ることを想定しておけば不安も和らぐのではないかと思います。

そのヒントとして、Well-beingの研究者でもある石川善樹氏の著書
『フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』
で提言されている内容がとても参考になったのでご紹介させていただきます。

同書ではキャリア人生の時間軸を以下の3つのフェーズに分けて提言されています。

●ハードワーク期(〜30代中盤ぐらい)
この時期は修行期(下積み)で、自身の専門性を磨きながら、業界内の上の人の信頼を得ることが大事。上の人から信頼を得るために必要なものは「可愛げ」と「大物感」。

●ブランディング期(30代中盤ぐらい〜50歳ぐらい)
この時期は他分野の人と交流を持ち、自身の領域を広げ、業界外の同世代の信頼を得ることが大事。大御所はいずれ前線からは去るので、業界の内外で同世代の仲間を増やし、同世代が近い将来偉くなった時に手を取り合える関係性を構築しつつ、自分自身の器を広げる。このフェーズで高めるべきは「人間としての魅力」。

●アチーブメント期(50代以降ぐらい)
この時期は自分の仕事で社会に還元するフェーズ。ハードワーク期、ブランディング期において専門性を深めたり、様々な分野の人と知り合う中で、自分が人生で成し遂げたいという『志』を見つけ、その志を仲間と共に達成していくフェーズ。このフェーズになると、もはや自分自身の能力や人間的な魅力は二の次で、それよりも仲間の能力や魅力を磨くことに専念すべきで、その上で「私たちは○○を目指します」というビジョンをより遠くまで広める努力をすべき。そして、この時期に付き合うべきは次世代の若い人達。

私はこの内容を見て、非常に納得感があり、各フェーズの年齢についても、私の感覚と合致し、共感を覚えました。第一線で活躍され、充実したキャリアを築いている方々は、30歳前半ぐらいまでに何かしらの専門分野や事業領域を確立し、その後は業界外との人脈やネットワークを広げ、自社に閉じない形で活動エリアを広げられています。ここでブランディングに成功した人だけがアチーブメント期まで到達することができると書かれていて、これもまた非常に納得感があります。また、石川氏は志を立てられるのは早くても50歳ぐらいと言われていますが、人生を通じて成し遂げたいと思える志を見つけられたら幸せだと思いますし、しかも想いを共にする仲間と一緒にそれを成し遂げられる人生になれば、本当に幸せな人生(キャリア)だと思いました。

また、同世代は親近感が沸きやすく、何をするにしても楽なので、同世代と一緒に活動したくなりがちですが、歳を取っていった時には意識的に次世代の人との関係性を強化することが大事だと思います。具体的には50歳ぐらいを超えた時には最前線で活躍している20代、30代、40代と積極的に交流を取り、トレンドから遅れないこと。そして、何よりも若い人達からエネルギーを吸収し、いつまでも若々しさを保てるようにすることが100年時代を見越した幸せなキャリアを築いていくためのヒントになるかもしれません。

今は還暦を超えて活躍されている方々は経営者、投資家、学者(講師)などが多く、あまり身近でロールモデルになりそうな方が多くないかもしれませんが、これから少しずつ60代、70代でも仕事を通じて第一線で活躍し、充実した人生を送られる人が増えてくるかと思いますので、そのような方々を意識的に注目していくと良いかと思います。

(2021年3月22日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。