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CXOのキャリアコラム

経営者になるための準備(視座を高める)

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2018年9月20日

前回のコラムで「経営幹部に求められる資質」についてお話をしました。弊社の登録者の中には将来経営者になりたいという方がたくさんいらっしゃいます。また、そのような方から、「経営者を目指す為に今から準備しておいた方が良いことはなんでしょうか」というご質問をいただくことがあります。クライアント企業との会話でもよく出る話題ですので、今回も少し掘り下げてみたいと思います。

今回は幹部候補の面接同席で感じたことをベースにお話を進めさせていただきます。

幹部候補の面接は、大抵の場合、簡単な自己紹介から話がスタートしますが、通常の面接とは少し異なり、経歴やスキルの詳細な確認はほとんどありません。どのような話をするかというと、その候補者の業界や事業に関して簡単に話してもらい、そこからディスカッションになることが多いです。その中でこれまでの苦労話や今トライしていること、業界の構造的な課題などを話します。

そして、そのディスカッションのなかで、多くの経営者が注目していると仰るのは「視座の高さ」です。

面接に同席して隣でお話をうかがっていると、大抵、結果は分かります。面接官(経営者)と対等なレベルで話し合いができていて、会話が盛り上がっていれば大体次に進みますし、面接官(経営者)と比較するとやや会話の視点が低いかなと感じると次に進みません。

この視座の高い話が出来るようになるためにはどうすれば良いのでしょうか。

一つの事例ですが、先日、ソフトバンクの孫社長のお話を聞く機会があり、やはり孫社長は見ている世界が違うと感じました。

「最近、弊社はメディアで、タクシー配車アプリの会社を買い漁っていると書かれることがあるが、メディアは全く理解が出来ていない。我々がやろうとしていることは世界の交通インフラを押さえること。そして、世界の人の動きが分かるビッグデータを押さえることである」

「ビジョンファンドは10兆円の規模で、これはグローバルの全VCのファンド規模を超える。我々はベンチャー投資ではなく、世界のトップ企業に投資し、グローバルで連携させる。これからは群戦略である」

「ARM社の買収額は高すぎる言われることがあるが、この買収の意味はきっと数十年後に理解されるだろう」

プラットフォーム全盛の時代となり、winner takes all(勝者総取り)と言われるようになりました。孫社長には常人では見えないものが見えていて、未来を予測し、大胆な意思決定をされています。孫社長は日本を代表する稀代の名経営ですが、視座の高さが圧倒的に違うと感じます。

話を戻すと、視座の高さを養う為には、目の前の仕事に忙殺されていてはなかなか鍛えられるものではありません。少し引いて俯瞰的に物事を考える癖をつける。海外に行って日本との違いを肌で感じる。本を読む。歴史を学ぶ。そして、本物の経営者との接点をたくさん持つこともとても有効だと思います。経営者になる為には、ファイナンス、マーケティング、マネジメント、人事・組織など、所謂実務的なスキルを高めることも大事ですが、それ以上に、最近は“視座を高く持つ”というのがとても大事だと思っております。

(2018年9月20日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。