|パートナーの肩書きをもつ人が増えているからこそ、自分の進みたい道を考える
先日、新鮮でハッとする出来事がありました。ある方に「コンサルファームで最速でプロモーションしている方に、どのようなキャリアのアドバイスをされますか?」と聞いたときのことです。
その答えは、『このまま普通のパートナーになっていいんですか?』と投げかけます」というものでした。
その方はまさにコンサルティングファームで最速で昇進されたご経験の持ち主です。マネージャー職の時に事業会社に転じられ、その後、上場企業の取締役を務め、今は複数の会社の社外取締役やアドバイザリーを務められています。
事業会社に転じた理由は、自分は会計士やバンカー出身ではないのでファイナンスに長けているわけでもなく、コーポレイトガバナンスに精通しているわけでもないので、「普通のパートナー」にはなれそうだが、それ以上に何か提供できる人にはなれないと思ったからだそうです。
『普通の』という言葉がちょっと刺激的ですが、確かに一昔前と比べれば、コンサルファームのパートナーの数は格段に増え、PE、VCなども含めると、プロフェッショナルファームでパートナーの肩書きを持つ人は増えたと思います。ただ、『普通の』というのはとても新鮮な響きであり、深く考えさせられました。
私は過去にコラムで以下のようなことを書きました。
いつかは事業会社へ移りたいと考えるのであれば、
年収がそれほど上がる前に転職するか、将来設計をした上で生活水準を抑えておくか、もしくは結婚する前にパートナーときちんと話をしておく、といったことが必要になるかと思います。
事業会社側のニーズとして、コンサル経験+事業会社経験(特にPL責任を持った経験が重要視されます)がbetterという求人が増えてきていることから、コンサルタントから直接というよりも、比較的若いうちに事業会社に移り、入社後に成果を上げ、昇格するケースが増えている傾向が強いです。
⚫コンサルタントを卒業するタイミング
「起業するタイミングは早いほうが良いのではないか」と考えます。
その理由のひとつとして、メガベンチャーの経営者が起業した年齢を確認すると、20~30代半ばくらいで起業している人が多いからです。
・BASE 鶴岡氏(23歳)
・ユーグレナ 出雲氏(25歳)
・ラクスル 松本氏(25歳)
・プログリット 岡田氏(25歳)
・オイシックス 高島氏(26歳)
・ユーザベース 梅田氏(26歳)
・ベースフード 橋本氏(28歳)
・LegalOn Technologies 角田氏(29歳)
・freee 佐々木氏(32歳)
・マネーフォワード 辻氏(36歳)
海外の経営者の場合はさらに起業時の年齢が若く、GAFA創業者の起業時の平均年齢は24歳です。
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起業するなら若い方がいい?経営者が起業した年齢から考える
上段のコラムは8年ほど前の2016年に書いたものですが、私の感覚はほぼ変わりません。
付け加えるとすれば、8年の間に三つほど変化がありました。
一つめは当時よりもコンサルタントの数が急激に増え、若くしてベンチャーの経営幹部になるなど活躍する人が増えました。コンサル経験だけでなく事業会社での経験もある方が、ニーズが高いと言えるかもしれません。
二つめはスタートアップの給与水準が上がり、大幅に年収を落とさずにすむためスタートアップに移る人が増えました。起業の成功事例も増え、たとえ起業に失敗したとしても、そのチャレンジを高く評価する傾向もあるので、起業のリスクが減り、起業する人が増えたかと思います。
三つめは、VCに転身する方が増えてきた印象があります。以前は戦略ファームからPEへの転職がブライトキャリアと言われていましたが、日本でもスタートアップの成功事例が増えてきたことからVCへの転職が増えています。
|自分に合う道を選び、高い能力を存分に発揮する
私はコンサルタントのパートナーの方とのお付き合いも少なくないので、もちろん、経営者から絶大な信頼を得て、企業変革をサポートされている素晴らしいパートナーがたくさんいることはよく存じ上げています。
どの道を選ぶかに良し悪しはなく、
それぞれの方がキャリアや人生における目的を掲げ、自分の価値観に合う道を選ぶことが大事だと考えています。
私はコンサルタントの方は非常に能力が高く、能力が高いからこそ、その能力を思う存分発揮していただきたいと思っております
。少しシニアの方は自分の命の使い道を考えていただくのが良いとも思っております。
先日、とあるコンサル出身の著名な方が、「人生の最後に自分の人生で何を成し遂げたのかを振り返って、後悔のない死に方をしたい」と話され、また別の方は「死ぬ時ガッツポーズ!」と話されていました。
私はそんな人生に憧れます。
皆さんもぜひ一度きりの命の使い道を考えてみていただければと思います。
(2024年7月22日)