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CXOのキャリアコラム

経営幹部の面接において重要な「自己紹介」のポイント

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2023年9月20日

私は経営幹部層の面接に同席する機会があります。最近感じているのは、
面接の冒頭に行う「自己紹介」の段階で、すでに差が生まれていることです。

私が面接に同席する場合、面接官とのお付き合いが長く、人となりを知っているケースが多いため、表情を見ていると興味を持たれているかどうかがわかることもあります。

候補者が経営幹部クラスの面接の場合、面接官も経営幹部でありレイヤーとして対等の立場で接することになります。メンバークラスの面接では経験、スキルのジャッジがメインとなりますが、経営幹部クラスの場合はアイスブレーキングからスタートすることが多いです。面接というよりは、カジュアル面談に近い形です。

面接官によっては相手に対して敬意を示す為に、最初に時間をいただいたことに対するお礼や、まずは面接官自らの自己紹介をした後に、「よろしければ、●●さんのご経歴も簡単で構いませんので、少しお伺いしてもよろしいでしょうか。」という流れになることもあります。

人によって自己紹介の仕方は様々ですが、私がさすがだなと思う自己紹介のポイントをまとめてみました。
経営幹部の自己紹介で重要なポイントは、主に以下の5点です。

1. 長すぎず・簡潔に
2. キャリアヒストリー
3. さりげなく実績や成果を盛り込む
4. 挫折体験や弱みを盛り込むのも効果的
5. 感謝の意を伝える

1. 長すぎず・簡潔に
自己紹介は長すぎず短すぎない程度の長さが望ましいです。人が集中して話を聞ける限界は2分30秒程度と言われており、メンバークラスの方はそのぐらいの分量が望ましいです。

経営幹部クラスの方はキャリアが長いため、相手に興味を持ち続けさせられるなら、もう少し長くても大丈夫ですが、どんなに長くても5分以内に収めましょう。

面接時間の長さに合わせて自己紹介の時間は調整したほうがよく、1時間なら5分でもいいですが、30分の面接なら5分は長すぎます。

2. キャリアヒストリーと共に、どのような意思決定をしてきたか
経営幹部クラスの方々は既に素晴らしいキャリアを築かれています。今に至るまでに様々な紆余曲折があり、その時々でどんな意思決定をされてきたのかを伝えましょう。

実は、自己紹介で興味が高まるかどうかはここで差が出やすいです。面接官も事前にレジュメを読み込み、ある程度想像を膨らませながら面接に臨んでいます。

人は大きな意思決定の場面で価値観が出やすいので、ここで候補者への興味が高まることが多いです。

3. さりげなく実績や成果を盛り込む
「さりげなく」がポイントです。自己紹介の段階でアピールしすぎると自慢話のように聞こえます。後で面接官が詳しく聞いてみたくなるぐらいに留めておくのが肝要です。

4. 挫折体験や弱みを盛り込むのも効果的
誰しも強みと弱みがあり、完璧な人はいません。それらをキャリアヒストリーの中に軽く盛り込み、だからこそ自分の強みを活かす方向にキャリアをシフトして今の自分に至っていることを伝えます。
挫折体験や弱みを開示されると大抵の人は親近感が沸き、距離感が近づく効果もあります。

5. 感謝の意を伝える
面接の時間をいただいたことに感謝の意を伝えましょう。会社や面接官の経歴に興味があり、話せることをとても楽しみにしていたと伝えるのもおすすめです。

上記は基礎的なポイントですが、すべてを盛り込もうとすると5分を超えてしまうでしょう。自己紹介は面接におけるアイスブレーキングの意味合いが強いです。

弊社では、「自己紹介は面接における目次を作る」という表現をします。今日の面接でどのあたりの話を聞いてほしいかという旗を立てるイメージです。また、少し上級テクニックになりますが、生い立ちや家族構成など、社会人になる前の話からスタートするのもいいでしょう。

どのようにして今の人格が形成されたのかを伝え、人生の浮き沈みを交えて軽く笑い話を盛り込み、人間的な魅力やチャームポイントを感じていただくのも有効です。

経営幹部クラスの候補者は素晴らしい経歴を持たれていることが多く、書類選考の段階で既に経歴面の高い評価を得ていることが多いです。一方で、同じ経営幹部レイヤーで迎えるにあたっては、一緒に働きたいと思える好感がもてる人か、一枚岩になって会社を牽引していただけるかの見極めが極めて重要なポイントになります。

そのため、自己紹介の段階で、「この人、素敵だな!」と思わせられれば満点です。
「面接は最初の5分で9割が決まる」とよく言われます。もちろんキャリアが豊富な方は後半で盛り返し、じわじわと魅力が高まるケースもあります。

しかし、出だしが重要であることは間違いありません。
自己紹介を甘く見ず、しっかり準備しておくとよいでしょう。

(2023年9月20日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。