経営者が直面するあらゆる課題に対応し、結果を出し続けるプロフェッショナル集団

Vol.12

経営者が直面するあらゆる課題に対応し、結果を出し続けるプロフェッショナル集団

PwCアドバイザリー合同会社

事業再生サービス シニアマネジャー田中 基興氏

事業再生サービス シニアマネジャー野村 泰史氏

トランザクションサービス マネージャー田中 秀樹氏

公開日:2013.10.31

インタビュアー 入江

プライスウォーターハウスクーパース ディールアドバイザリー部門はM&A、事業再生のパイオニア的な存在として知られ、数多くの案件を手がけてきた。今回はその核である事業再生サービスチームと、企業買収や事業部門の売却、合併ならびに戦略的業務提携を支援するトランザクションサービスチームの3人にご登場いただき、それぞれのキャリアヒストリーと業務内容についてお話をうかがった。

Message

我々の役割は「企業の命を救うER」

入江
最初に、皆さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
田中基
新卒で総合電機メーカーに入社し、所属は経理部だったのですが事業の経営計画や戦略立案など手広く事業管理を担当していました。そこに6年いた後に銀行系シンクタンクのコンサルティング部門、外資系の戦略コンサルで「何でも屋」的に幅広いテーマのコンサルティングに従事し、08年にプライスウォーターハウスクーパース(PwC)に入社しました。大企業に比べ、キャリアとしてはリスクの高いプロフェッショナルの世界へ移ったのは、20代後半で感じがちな「現状に対する焦燥感」と社内コンサル的な仕事での成果に充実感を感じたからです。
入江
他のファームを2社経験して、御社に移られたのはなぜですか。
田中基
「何でも屋」的に幅広く経営コンサルティングをやっていると、引出しの多いコンサルタントになっていくのですが、その延長として総合力を問われる「事業再生」に興味を持つのは自然な帰結でした。また、コンサルティングファームに転職した時の最も大きな動機が、先ほど申し上げた「事業の建て直し」での充実感でしたので、「事業再生」に対して、漠然とではありますが関心を持っていました。PwCを選んだのは、事業再生コンサルティングの世界で、「最も歴史が長く」「ノウハウが集積し」、その結果としてのブランド力、すなわち「築き上げられた顧客からの信頼」があるためです。
野村
私はシンクタンク系のコンサルティングファームに10年弱在籍した後、08年にPwCへ入社しました。前職の業務内容はシステムインテグレーションの上流工程も多く、ITを使った新規事業の立ち上げや、複数の会社がITを活用してアライアンスを組むといった案件を中心に担当しましたし、ナショナルプロジェクトも多かったですね。そうした「世の中にないサービスをつくる仕事」は面白く、やりがいもあったのですが、10年近くやっているうちに、企業経営の深刻な局面で自分は何ができるだろうと考えたのが転職のきっかけでした。そこでM&Aや事業再生で自分が何かできそうなところを探し、PwCに入社しました。
入江
お二人とも事業再生という、コンサルの中でも大変なテーマに興味があったのですね。
野村
我々のクライアントは売上が数千億円規模の大企業で、かつ明日には潰れるかもしれない会社も多いです。従業員1000人、家族も含めると4000人が路頭に迷うかもしれない局面で、どんな手を打てるか社長や経営陣とギリギリの所で検討を行い、実行に移していく緊張感はあります。成功するかどうかは分からない、だけど我々が手を引けば確実に会社が潰れる局面で出来ることを全てやり切るのはやりがいがありますし、ある程度決着がついたときにクライアントの社長から本音で「ありがとうございました」と言ってもらえるのは一般的な経営コンサルティングではできない経験です。
田中基
事業再生コンサルティングが他のコンサルティングテーマと異なる点は、クライアント企業にとって我々が「最後の砦」ということです。病院で例えるなら「ER(救急救命室)」であって、生きるか死ぬかの瀬戸際の企業と対峙し、命を救う役割をしています。なので、必要なことは何でもやる。大きな絵を描くのは当然ですが、金融機関をまわってお金を集めたり、事業部門の売却先を探してきたりもする。投資銀行やM&Aの専門家がやるような領域もまとめてやるんです。PwCには様々な領域の専門家がいるので、我々事業再生チームがコアとなり、生き残りの術を組み立て、専門家達と共に矢継ぎ早に実行していく。非常に大変な仕事ですが、普通では味わえない充実感があります。
入江
トランザクションサービスの田中さんのご経歴はいかがでしょうか。
田中秀
私の場合は、新卒で外資系の戦略コンサルティングファームに入社し約3年間在籍した後、外資系プライベートエクイティファンドで約3年間働き、今年の6月にPwCへ転職しました。1回目の転職理由は、戦略コンサルティングの仕事は事業戦略に与えるインパクトは大きい反面、必ずしも顧客の経営課題全てを対象としている訳ではないので、私としては戦略という一つの領域に特化するのではなくより幅広く企業経営というものを学びたかったからです。その観点から、企業を丸ごと買収するプライベートエクイティファンドでの仕事は、企業経営上必要なことは全てやらなければならず、幅広くスキル・経験を身に付けられるのが非常に魅力的でした。
入江
そこから御社へ転職されたのはなぜですか。
田中秀
日本企業のグローバリゼーションという課題に対して、より深く取り組みたくなったというのが一番大きいです。自分のキャリアでの経験を鑑みると、日本企業がぶつかる最大の経営課題はグローバリゼーションです。大企業でもベンチャー企業でも、日本である程度の成功を収めると海外展開による更なる成長が視野に入りますが、実際に日本企業が海外でビジネスを成功させるのは本当にハードルが高い。私は、なんとか日本企業が海外で成功するための支援をできないかと思う一方で、そのために必要なスキル・経験が不足していることも感じていました。PwCへ入社したのは、そのような折に「クロスボーダー案件のチームを強化したい」という話を頂いたからです。もともと前職でPwCにはお世話になっていたこともあって会社の雰囲気はある程度知っていましたし、一緒に仕事をしたい人達だとかねてから考えていたのも非常に大きかったです。

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「本当の経営者目線」で物事を見て、実行する

入江
皆さんコンサルティングファームから転職されてきましたが、前職と比較して特徴的に感じたことを教えてください。
田中基
もっとも特徴的なのは、経営者の視座に立ったリーダー行動を求められることです。PwCに入社する前も、「経営者の視座で」ということは先輩コンサルタントからよく言われていたので、そのつもりでアウトプットしておりましたが、事業再生の世界を一度経験すると、本当の経営者の視座ではなかったことがよく分かりました。経営者の基本行動とは、自らwillを打ち立て、will実現のためにステークホルダーを説得し、その理解の上で会社を動かし実現していく、そして「逃げられない」ことです。どんな会社でも実際にトップにならないと絶対にそういう目線で仕事はできません。なぜなら、組織には分権化された自分の担当領域と、より上位の責任者がいるからです。ところが、我々の仕事では、まさにステークホルダー全体を見渡し、説得し、あるべき姿に向かって動かしていく、さらに「最後の砦」として「逃げられない」、という経営者と同様のリーダー行動が求められるのです。加えて特徴的なのは、経営者として求められる抽象度の高い思考に加え、施策実行の推進役として具体性の高い思考と実務レベルでのリーダーシップが要求されることです。粗っぽい括りですが、抽象度の高いところは戦略コンサルの世界、具体度の高いところは業務コンサルの世界とすれば、我々はこの「思考の抽象度のダイナミックレンジ」とスキルの「専門性の深さ」において、戦略コンサルと業務コンサルの両方を備えている必要があります。PwCの事業再生チームで、最も特徴的に感じているのは、今述べた二つ、「高い視座に立ったリーダーとしての行動」「極めて広い領域で戦えるだけのコンサルスキル」が求められることです。
野村
入社して驚いたのは時間軸です。一週間以内にステークホルダーを説得しないと会社がどうなるがわからない局面があったり、ほとんどのクライアントが上場企業なので、監査期間の間に適正意見が出ないと信用を失ってしまうが、まだ必要な計画が準備できていない場合があるなど、時間軸が非常にタイトなんです。一般的なコンサル案件だと3か月で報告書を作成するという動きが多いですが、それよりはるかに濃密な動き方をします。同時に、プロジェクト1件あたりの期間が長い。私がやった案件の一つは1年半、もう一つは2年で、この時間軸はいままでに経験がありません。クライアントの危機局面からプロジェクトを開始し、しっかりと再生を果たすまでサポートしようとすると、それだけの時間が必要になってきます。もう一つ驚いたのは案件の規模です。クライアントはほぼ大企業ばかりとは言え、プロジェクトによっては従業員の他、出資者、銀行、弁護士、会計士、税理士、コンサルなど100人も200人もの関与者が短期間で動きます。我々はその中心に立ち、クライアントの再生に向けて必要な検討内容を整理し、関係者に必要なタスクを割り振り、進捗を管理する等、全てさばいていかないといけません。これだけの規模の案件を扱えるのは、PwC以外ではほとんどないと思います。
田中秀
PwCが他社と比べて圧倒的に違っている点は大きく二つあると思います。一つは、対象とする領域の幅の広さと深さです。我々のトランザクションサービスチームでは、M&Aにおけるファイナンス・デューデリジェンスを中心にクライアントをサポートしていますが、クライアントは事業戦略やストラクチャリング、タックスやシステムなど、非常に幅広い視点でのアドバイザリーを必要としています。そのとき、戦略コンサルティングファームでは企業の事業計画など特定領域にしか対応できませんが、PwCは基本的にあらゆる領域でのアドバイザリーを提供することができます。PwCには多種多様な専門性を持った人たちが社内にいるので、自分にできないことであっても社内でチームを組むことにより、結果的にクライアントが必要としているアドバイザリーをPwCは全て提供できるのです。もう一つは、圧倒的なグローバルのカバレッジです。PwCは世界158ヵ国に18万人の従業員がいるので、基本的に世界のあらゆる地域に対応できるのですが、この規模のカバレッジを持つコンサルティング企業はPwC以外には存在しません。今日もあるクライアントと中央アジアの小さな国の案件について議論してきたのですが、日本企業が海外で事業展開する際に我々がお手伝いできる地域および経営領域の広さと深さは他社とは比べ物になりません。
入江
どの領域にも対応できる総合性は一方で、「何でもできるは何もできない」という懸念にもつながると思います。その点はいかがですか。
田中基
PwCが「何でもできる」と言い切れるのは、事業再生チームが各専門部隊の横串として機能しているからです。ありがちなのは、スキルの百貨店であっても、実際はスキル別組織の縦割りによって、総合的に機能しないケースです。このような場合、横串組織を立ち上げ、組織合力の最大化を図るのが一般的ですが、横串組織の発言力が弱かったり、横串組織が利益責任を負わないバーチャル組織であったりで、掛け声倒れになることが多々あります。PwCの事業再生チームは99年にPwCのアドバイザリー部門が設立された時の発祥チームです。つまり、事業再生サービスを軸に、現在のコーポレートファイナンスやトランザクション、M&A支援などといったサービスを拡充してきた面もあるため、事業再生チームが橋渡しとして機能し、企業経営にかかるあらゆるディールおよびコンサルティングサービスを一体で提供できるのです。「何でもできる」が機能しないと、クライアント企業が破たんしてしまいますし・・・。
野村
事業再生チームとトランザクションチームがチームアップするといった仕事はよくあります。たとえば、事業再生で非コア事業を売却するという局面では、トランザクションチームはM&A関連業務の経験が非常に豊富ですから、どう対応すべきかを考えるうえで非常に心強いし、PwCがクライアントから評価されるポイントでもあります。

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自分の描いた絵がどんな結果になるか、最後まで見届けられる

入江
それぞれのチームにおける最近のプロジェクトの傾向はありますか。
田中基
「事業再生」では大企業の案件が増えています。人口が停滞している日本では、これまでと同じ数の企業がやっていけないのは明らかです。そこで業界再編が必要な業界や、収益モデルを見直す必要のある企業が増えています。特に業界再編が必要な場合、必然的に大企業が対象になるというのも、大企業の案件が増えている背景です。また、明日にも資金繰り破たんが見えている企業ばかりでなく、数年後の破たんが予期できる企業の案件も増えています。成熟マーケットで、数十年来収益モデルを変えられなかった企業が、数年後にどういう状況に陥っているのか?はある程度読めるので、事業基盤の劣化初期に手当の必要を感じた金融機関と企業からの引き合いが増えています。そのため、取り組む課題も従来からの「バランスシートを外科的治療で立て直すこと」に加え、「反転攻勢と持続的成長に向け、いかに収益モデルを改めるか?」に比重を置いた案件が増えています。
野村
海外展開のご相談も多いです。大企業はすでに海外進出しているところが多いのでそこの売上をどう伸ばすか、各国マーケットの動向がどのように変化していて、そのなかで子会社をどうすべきか。あるいは現地の会社を買収し子会社にしたいといったご相談もあります。こうした話は皆さんが想像する以上にたくさんあります。
田中秀
トランザクションサービスでも状況は似ていると感じていて、マクロ的な事業環境の変化に伴う事業再編やクロスボーダー案件、ノンコア事業の売却案件等が増加しています。成長の見込めない国内市場で消耗戦をしていてもメリットがないことは自明であり、多くの業界で今後も更なる再編は避けられないように感じます。一方で、今後の事業成長の軸を海外市場に求めているクライアントが多く、東南アジアや中国、インドなどの成長市場へ積極的に出ていこうとする案件が増えています。加えて、グローバリゼーションに伴う海外企業との競争激化に伴い、本業と明確なシナジーの無いノンコア事業の売却を決断されるケースも後を絶ちません。
入江
コンサルタント経験者で御社に向いているのはどんな人ですか。
田中基
事業再生に必要なスキルは、いわゆる戦略コンサルファームをはじめ、数多のコンサルティングファームの持つスキルの多くを包含しているので、転職してきた人にとってコンサルタントとしてのスキルの質と幅は、確実に広がります。また、先ほど申した通り、組織経営者としての視座を経験できるので、経営系ポジションを目指す人の鍛錬の場とも言えます。経営コンサルタントとしてキャリアを磨きたい方にも、経営系キャリアを積みたい方にも、最適なフィールドです。長期停滞の続く日本には、「チャレンジ精神」と「逃げない姿勢」で、戦い続けられる人間が求められています。そういう人間を目指す人には最適な「フィールドの広さ」と「解決すべき課題の困難性」のあるファームです。志を持って、腕っぷしを磨きたい人には最適な場所だと思っています。
田中秀
PwCに向いているのは、本当の意味で経営者と同じ目線になり、同じだけの幅で経営課題ととらえ、同じだけの深さで実行したい人ではないでしょうか。戦略コンサルティングファームでは戦略・実行計画が描けた段階で、「後はこれをやってくださいね」と渡して仕事は終わりで、実行の深さが極めて浅い。しかし、自分が本当に経営者なら戦略だけを考えていてはダメで、人事、財務、ITなど複雑に絡み合った経営課題も含めて、実際に現場のオペレーションを変えていかなければなりません。PwCでは、そうした幅広い経営課題に対する極めて深いレベルでの実行という点で、戦略コンサルティングでは経験し得ないプロジェクトが圧倒的に多い。もちろん、戦略にフォーカスしたキャリアパスも当然あって、それを望む人は戦略ファームでキャリアを進めるのがよいと思いますが、幅広い経営課題に対して、現場レベルまで深く入って解決したいという人はPwCに向いていると思います。
野村
大企業にはMBAホルダーも戦略コンサル出身者もいますから、考えることだけならどの会社もできると思います。それでも実行に移せないのは何らかの理由があるからですが、我々事業再生チームが入る局面ではそうした「出来ない理由」も一つずつ解決し、考えたことをちゃんと実行に移していきます。面白いと思いますよ、自分の描いた絵がどんな結果になるのか、最後まで見られますから。よく「コンサルタントは提案して終わり」という言い方がされますが、本当に苦しんでいる会社をなんとかして、再成長の軌道にのせる仕事は他では身に付かない能力が身に付きます。その分、しんどいのは確かですが(笑)。
入江
本当に大変そうではありますが(笑)、中長期的にコンサルタントとしてキャリアを積んでいくことを検討されている方にとっては、経営に必要なスキルを広く深く身につけられ、他のコンサルティングではなかなか味わえない使命感や達成感を感じながら仕事が出来るフィールドなのですね。本日は貴重なお話を聞かせて頂きまして、誠にありがとうございました。皆さまの今後のご活躍を影ながらお祈りしております。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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